日本だと引っ越したら菓子折り持って周囲に挨拶回りだと杉本が言っていたが、こっちでは、回りから先に偵察が入る。
菓子折りなんて、菓子箱の下にブツが詰まってるやつしか、贈ったことも貰ったこともねぇし。
で、こちらが挨拶する間もなく前後左右から声をかけられてしまい、どうしたもんかと思っていたら、百目鬼が職場の人間から情報を仕入れてきた。
「前後左右の家の人を誘って、ホームパーティをするのはアリらしいです。Housewarming Partyというのだとか」
……ま、そーなるわな。
アメリカ人ホンットホームパーティ好きだな?
一気に済むし、別にやるのはかまわねぇけど、何を出すかが問題だ。
ごく一般のウィスコンシン人プロファイルに当てはめると、ゼッタイ外さねぇのはペペロニピザとバーガーとコーラ、なんだが、微妙にこのへん住民オハイソで、ジャンク食いそうにねぇし。
そもそも、何人来るかもわかんねぇんじゃ、どんだけ用意すればいいのかもわからん。
というわけで、日本人が主催するパーティったらコレだろ、ということでカレーに決定。
あとは、後隣の奥方がメキシコ人でテリヤキの話に盛り上がってたから、テリヤキチキンでいいだろ。
写真はとる暇なかったから、簡単にレシピのみ。
1:カレー
ごくフツーのカレー。ただし、リンゴ15個(つっても園児の拳サイズだが)ブチ込んだ。
リンゴって溶けるんだな……。サーブするときには影も形もなかったわ。
コッチの人間、結構な割合でベジタリアンがいるので、一応肉はヌキで調理。
肉なしでどうなるよ、って思ったら、リンゴがイイ仕事してくれたらしい。なくても十分いける。
2:カレートッピング用サイコロステーキ
ウィスコンシンったらコレだろ。牛肉。
テキトーにハーブソルト2種類まぶして、オリーブオイルで焼く。
表面だけ軽く炙って、あとは余熱で火を通して終わり。
……待てよ。
アメリカ人、生肉食えねぇ奴結構いんじゃん。
ゲストの中にポーランド人夫妻がいる。ヨーロッパの奴らは基本肉は半生だ。
てか、俺が、焼きすぎて石みたいにカッチカチの肉は食いたくねぇ。
というわけで、半分はレア好きな奴のためにとっといて、もう半分はもう好きなだけ火通してくれ、ってことでおいておく。
(裏隣の奥方がその後がっつり火通してくれた)
3:テリヤキチキン
トリモモ肉を、鎌田の出汁醤油1、オイスターソース1、みりん1の割合のつけ汁につけて5分以上放置。
フライパンにのせて(皮がある場合は皮が下)、上からアルミホイルかけて、その上に水張ったナベを直接置いて重石にする。
すぐ焦げるので火加減注意。
コッチに移住する、って話したときに、七原が大泣きして鼻水垂らしながら押しつけてきたグッ○裕三のレシピ。
3:シトラスサラダ
たまたまコッチのPublic TV見てたらGiada de Laurentiisって名前のイタリア美人がやってたレシピを借りた。
- グレープフルーツを皮剥いて横に輪切り。皿に並べる。
- スライスした赤玉ねぎをグレープフルーツの上にふりかける。
- スライスしたカラマタ・オリーブをその上にさらにふりかける。
- 小口切りのネギをまたその上にふりかける。
- 生バジルの葉をその上にちぎってのせる。
- バルサミコ酢とオリーブオイルをテキトーに上からかける。
すんげぇいい加減なわりには、このサラダはわりとウケがいい。
ここで時間切れ。
しかし、ゲストの一人がデザートを持ってきてくれたので、量的にはこれでよかったらしい。
ジャパニーズ・カレーはほぼ全員恐る恐る食っていた。
ホント、こっちの奴ら、食に関して保守的だなー?
一人だけ、隣のじーさん(このじーさん実は有名人で、現役時代はかなり名の知れた外科医だったらしい。もう一本向こうの通りの名前はじーさんの苗字からとられたとかいう話)が昔海軍で、横須賀にいたのでジャパニーズカレーを知っている、という話だった。
いや、本場の海軍カレーと張り合える出来じゃねぇよ?
料理の味が及第点だったかどうかはわからんが(まあおかわりしてた奴もいるから、気に入った奴もいた模様。テリヤキチキンは総じてウケが良かった)人柄はいい人たちばかりで助かった。
朗らかで、教養があって、ユーモアもある。
ホント、いるところには、こーいう奴らがいるんだな。
俺が厨房に篭り切りだったので、百目鬼はゲストの相手で目を白黒させていた。
ま、いい英語の勉強になっただろ(笑)。
あいつ、なにげにジジババキラーだから、テンポの速い会話についていけないご老体二人には、ちょうどいい話し相手になったらしい。
全員が、プレゼントに鉢植えの花や観葉植物を持ってきた。そーいうもんなのか。
裏隣の奥方はさらにミントの苗も持ってきた(こないだミントはミントティにする、って話したの覚えてたんだなー)
家の中に緑があるのは、まあ、悪くない。
さて、なりゆきで来年もまたリンゴの収穫の時期にやろう、という話になってしまったが、……
レシピ考えんのめんどくせぇ……(汗)