蜂とカイワレ

先日引っ越し祝いをしたときに裏隣の家から借りたテーブルと椅子、1週間天気が悪くて返しそびれていたら、ご主人と奥方が回収しに来てしまった。さっさと百目鬼に返しに行かせればよかった。

 

隣人の中でも一番人懐こいというか、明るいご夫妻なのだが、その夫人の方が「蜂が巣作ってる!」と突然ウチを指差して叫ぶ。
ベランダに据え付けられたライトと壁の隙間から蜂が出入りしているらしい。
どうりで、やたら蜂が多いと思った。

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よくこんなちっせー隙間見つけんな、おまえら!

 

さっさと退治しないと、大変なことになる、という。
ご主人が殺虫スプレーを1本くれた。

 

「矢代さんは、危ないので離れていてください。俺がやります」
「いやオマエも危ねぇだろ」
「俺は大丈夫です」
「なにその根拠のねぇ自信」

 

この庭の、いろんな動物や虫がいるのがわりと気に入っているので、思わず、「あんま殺したくねぇんだけどな」と呟いたら、百目鬼がこちらを振り返ってマジマジと人の顔を見つめていた。

 

「……どしたよ?」
「……いえ。やっぱり、そういう人だったんだな、と思って」
「……何が。」
「真誠会の頃のあなたとは、かなり違うな、と……いや……同じだったのかもしれません」
「……どーいう意味?」
「やっぱり、あなたは優しい人だ、と。」

 

はぁ? 何言ってんのオマエ?

そう言ってやろうとしたら、でっかい影が覆いかぶさってきて、気がついたらキスされていた。

 

 

……どうでもいいけど、片手に殺虫剤持ってやるコトかよ。。。

 

 

とりあえず、百目鬼にはアジアの農民が被ってるような三角の竹編み笠かぶせて、特大ゴミ袋に穴開けたのを服の上から被せて、ママゴム手袋みたいなのつけさせて、殺虫剤持たせて「それ行け!」と押し出したが、結局巣がどこにあるかわからず、壁に大量の殺虫剤のシミを作って終了。

 

結局、ネットで調べたら、壁の隙間に造られた蜂の巣は素人はほぼ除去が不可能なので、大人しくプロを呼べ、とあった。

……なんか、毎週なんかしらのプロフェッショナルを呼んでないか? (先週は下水)
古い家は色々金かかんな〜!

 

しかしまぁ、まさに蜂の巣をつついた騒ぎの蜂の近くまで寄った報酬に、昼飯を作ってやることにした。
ガレージセールで入手した野菜のタネを植えてみたら、水菜と三つ葉とネギは生えてこなかったが、小松菜と貝割れ大根はなかなかいい具合に芽が出ている。

 

 

 

調子に乗って全部撒いたら全部でてきてしまった。カイワレは食いそびれたら大根になんだろ、と思ってたら、大根にはならず、しかも上を摘んだらもう出てこない、さっさと食わないと固くなって食えなくなる、という。
じゃあドンドン食うしかねえじゃん。

 

というわけで、ソバのトッピングになった。
百目鬼は不思議な顔をしていたが、久々にリンゴ料理から解放されてほっとしたらしい。
ほぼ5分で完食していた。

 

4 thoughts on “蜂とカイワレ

  1. いえ……! ソバに大量にカイワレ大根が乗ってるのって、見たことがなかっただけで……!
    でも、美味しかったです。リンゴ料理も美味しいです!

  2. そーかよ。
    俺としては、オマエのビミョーな顔見るの楽しみで作ってんだけど?(笑)
    オマエ、普段無表情だけど、食いもん食ってるときだけは、一瞬表情豊かになるよな。

  3. えっ……そうなんですか?
    ……俺、そんな顔してますか……?
    本当に、美味しいし、矢代さんが俺のために食事作ってくれるの、本当に嬉しいんですが……

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