エセルさんは昨晩は酷く落ち込んでいたと思ったら、今晩はいやに態度が硬化していた(復活したのか?)
深夜を回ってから何やら野菜を刻んでいる。
聞いてみると、今から「カレー」を作るらしい。
今週一杯の夕飯をこれで済ますらしい。
銀毛が少々逆立っているようなので、オレは台所の脇で日々作業となりつつある茶チビの毛を毟っていた。
家では一番デカイポット(圧力鍋なんだが)をやたらカンカンに熱くしているので、一言「そろそろいいんじゃないか?」と言うと、「(肉を入れると)直ぐに火の温度が下がるから、もっと熱くする」と仰る。
大丈夫かよ…?
と思ったが、黙っておいた。
そして、まあ、多分一分かもう少したった頃、台所から呆然とした銀色うさぎの一言が届く。
「火が出た」
何だ、そりゃ?
と思って台所を除くと、見事な火柱が鍋の口から立ち上がっていた。
キャンプファイヤーくらいには見事だったな。
見ていると、とりあえず、うさぎさんはコンロから鍋を外し、シンクに鍋を移動。
「水は入れるなよ」
と言うと、見事な火柱吹き鍋を持ったまま呆然と一言
「どうするんだったけ……」
…………。
「まあ、毛布とか濡れたバスタオルぐらい突っ込めばいいけど、取りあえず蓋しとけば?」
と言ってまな板を鍋に被せた。
「…あ、そっか…」
とまたうさぎさん一言。
………。
その後、どうするのかな、と思って見ていると、バックヤードに鍋を持って行った。何時もなら、バックヤードへの扉が開くと駆け込みに行く茶チビも動かない。かなりの異臭。
部屋の中から様子を伺っていると、「ボンッ」と言う音がして、「また火が出た」とうさぎさんの声。
………。
仕方がないので、扉の傍まで行って銀毛うさぎ様の行動を監視していると、もう一度まな板を鍋に被せて蛇口に繋ぎっぱなしにしているホースから水を出して、鍋を冷やし始めた。
おそるおそる鍋の胴に触り、熱が無いのを確認した後、まな板を外す。
まな板には見事な真っ黒円形の跡。
まな板の匂いを嗅いで、再利用を諦めたのか、そのまま壁に立て掛け、鍋だけ持って中に戻ってくる。
鍋の中も見事に真っ黒。
台所に戻ってきて金タワシで磨いているので、重曹を渡してやる。
油煙を落とそうと化学洗剤で一生懸命擦っているので、風呂場からアルコールを取って来てやる。
ついでにゴム手袋を二組持ってきて交代で鍋を磨く。
果たして、カレーが出来上がったのは明け方の4時だった。
なんかねぇ…物凄く家事が上達したと思うんだけど、時々信じられないポカをするのってなんでなんだろう? うちの奥さん。
追記:あれだけ煙出ても鳴らない煙探知機ってやばくないか?
エセル銀毛うさぎ奥さん→サガもしくはエセルバート。
………。
でも、ちょっと怖かった………
それ、うちもやったことあります……電気コンロは鍋がなかなか暖まらないから、つい……。
でも、探知機が鳴らないのは危険ですよ?
新しいものに取り替えた方がよくないですか?
何時やったの?そんなの、カミュ。
そういえばオレは無いなぁ…。殆ど煮込み料理かパスタソースしか作らないからか?
………お前、本当に忘れたのか?(呆)
まあ、うちは蓋しただけで収まったけど…
??
………?
!
ああ!
あの、キスしてたら横で燃えちゃったやつ?
でも、あの時料理してたのオレじゃないし(笑)
……………………(脱力)。