結局

週末に、カノンのアパートに二人で出かける事になった。


アイオロスは散々面倒だのカノンがこちらへ来れば良いだのとごねていたが、問答無用でカレンダーに予定を書き込んだ。
どうも、アイオロスはカノンの事を私の延長で、まるで自分の子分か何かのように考えているふしがある。あれは私とは違うし、それはものを頼む態度ではない、と厳しくはねつけたら、漸く渋々了解した。
普段のアイオロスは、むしろその辺はしっかりしていて(計算高いとも言うが)、何も言わなくとも相手を立てる行動に出るのだが、何故かカノンには別の法則が働いているらしい。
何かと張り合いたがるというか……もしかして、同じアメリカ育ち同士で何か含む所があるのか?
それにしても、カノンが両親に感謝している旨を明らかにしたのは、これが初めてだ。
幼い頃から随分と寂しい思いをしたはずなのに、この言葉を聞けば両親はとても喜ぶだろう……
ただ、あれは照れ屋だから、いざ父の前に出れば口を噤むのだろうけれども。
ハーバードとスタンフォードで心理学を学び、今現在立派にカウンセラーとして独立しているカノンは、よほど私よりしっかりしていると思う。私があまり得意でない経営のセンスもあるようだし、カノンの方が当主に相応しいと、本当に彼を知る人間ならきっと納得してくれるはずなのだが……
そう一筋縄ではいかないのが難しいところだ。
カノンが仕事を止めなくてはならないような事態に持ち込むわけにはいかないし……
週末まで、色々と考える事がありそうだ。

「結局」への2件のフィードバック

  1. アイオロス・ヴィンセント・エインズワース より: 返信

    …あのな…。
    お前には見えていないようだから説明するのもめんどくさいが……カノンのアパートには「女」の匂いがするんだよ。あいつは気にしてないが(そして、お前は嗅ぎ取れてないが)。
    なんでそんな所にお前と二人で「邪魔」せにゃならんのだ?
    大体、ややこしいんだ。お前とあいつは……(嘆息)。

  2. サガ・エセルバート・シュローズベリ より: 返信

    カノンに女性の友達がいるという話はきいていたけど……彼女だったのか?
    それにしても、君はよくそういう事に気づくな……でも、カノンが来いというのだから、別に訪ねるのは構わないだろう。もしかしたら紹介してくれるつもりなのかも知れないし。
    ところで、何故私とカノンがややこしいんだ?
    君はいつも、私とカノンは全く違うと言っているのに……?

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