A side effect(副作用)が懸念され始めた一日。
実は、ロンドンのハウス・ラビット・ソサイエティーと連絡を取って、ロンドン支部のPresidentのジョージと少し話をした。(というか、ここにいつも干草を買いに来ている。ロンドン郊外の一軒屋で馬仲間から牧草を仕入れているのでそのおこぼれを貰っている)
ジョージは薬学部卒のPHDで、処方箋を見せたら一気に顔を顰められた。
まだ血液検査がペンディングの状態でAlbendazoleを投薬、しかも6週間という長期投薬という事がありえないという。
まずは疑うのは中耳炎・内耳炎などの症状でこれにはantibiotic(抗生物質)を使う。E.カニクライ(Encephalitozoon cuniculi=エンセファリトゾーン・カニクライ)に対する先手の治療との事だったが、ジョージに言わせると、Albendazoleはこの治療法の中でももっとも副作用の症例がある(犬・猫でも報告されている)との事で、これを初手から使うと言うのは、言い方は悪いかもしれないが、病院の在庫の都合も考えられる、と口を濁していた。
彼自身、10数年前にこれに関する研究をしており、E.カニクライには、Albendazole、Fenbendazole、Oxibendazole,とあり、彼の主張によりとAlbendazoleはもっとも副作用があるという。細胞に残る、奇形の発生など。また、Fenbendazole、Oxibendazoleは脳への浸透がAlbendazoleより良く、もっとも良いのはOxibendazoleでこれは副作用ないとの事。
投薬の説明を受ける際に、一応医師には副作用の有無は尋ねてあった。しかし、薬物学の人間から見るとまた違う意見らしい。
帰宅後、ジョージから教わった、新聞を芯にしてタオルを巻き、それを二本体がその間に入って真っ直ぐに伸ばせるようにベッドを作った。いつも体がS字に曲がっていると消化や背骨にも負担がかかり、ウサギ自身もそういう隙間に入ると休まるという。既に茶チビは移動用キャリーとブランケットやリネンで囲ったパンの間に隙間を見つけそこに入り込んでは安んじていたが、試しに一つプラスチックのコンテナを潰して立派なものを作ってやった。
結果は、いつもの事で、人間が作ったものは悉く気に入らないらしい。
見向きもしない。
その後、病院側と投薬の話をするために、E.カリキュライとAlbendazole、Fenbendazoleのレポートを検索してみるが、使えそうなものは三つほどしかみつからなかった。その他は、根拠として使うには実験の設定や結果の見せ方がこちらの希望と合わない。
実は、今日から食欲(つまり、自力での食事)は戻っていないものの、強制給餌を停止した。
朝に、ローヤルゼリーとオレンジジュース、眼振の薬を注射器で飲ませたきりである。
夜にやるはずの眼振の薬も停止した。
理由は、まず、昨日の茶チビの強制給餌後の状態が大変苦しそうだった事。
眼振の薬の停止は、本当にこの薬が眼振に作用しているのなら、また眼振が発症した際に飲ませても効果はあると見たからだ。
自力で食べる食物こそが体の栄養になる。
じっと愉気してやると、よたよたと気に入りの溝地から這い出して、牧草の茎をほんの一本齧ってはまたよろよろと自分の体が安定するスリットに戻る。
無理矢理小さな紙箱に入れて体重を量ったところ、病院では1.27kgだった体重が、1.1〜1.2kg。これも、強制給餌を今止めて本人の食欲に任せる決断をしたポイントではある。
1kgを切ったら、強制給餌だ。
夕方、自力で水を飲む姿を始めて見た。
その後、バナナを一欠け。
パンから出て見回りの真似事をする。
えせるに挨拶に行き、驚いたことにえせるが茶チビの耳元ばかりを舐めてやっていた。
深夜を過ぎてから、またエセルが愉気をすると今度は3粒のペレットを食べた。
エセルは涙を流さんばかり。
また、俺の作ったベッドは通路として利用されている模様。両側に支えがあってあるきやすいのだろう。
また、明日の朝の投薬は、どれだけ食えているか、だ。
週末が終わり、ウィークデイが始まる。
どれだけコイツに時間が割けるか、ま、挑戦だな。