付き合いも二十年になると、その言葉が本気なのか、方便なのか、口先だけなのか、分かるようになってくる。
最初の頃は純粋に喜んでいた優しい言葉も、最近は、その裏に計算がある事も折り込み済みなのではあるが。
……困ったことに、ロスは、そういう甘い言葉と態度が本当に上手いのだ……。
あの調子で、他の女性にも声をかけているのだろうけれど(溜息)。
それは、百も承知、なのだけれど……。
こうして、優しく微笑まれてしまうと、どうにも抗えないのが、我ながら何とも……(溜息)。
「……君が、私が一番だというのは、まあ、多分本当なんだろう。こんなになっても、まだよりを戻そうというのだから、きっと私が出て行ったらそれなりに寂しいんだろう。
でも、もし私が本当に一生君と寝るのを拒んだら、どうする?」
ロスが夕食を用意して待っていてくれた金曜の夜、ベッドの中で天井を見ながら尋ねると、隣からくすくすと小さな笑い声が聞こえた。
「一生なんて、そんなに長い間イジケさせておくわけがないだろう?」
……全く………。
その自信は、一体どこから来るんだ?(苦笑)
隣から伸びて来た手には軽くキスを返して、今日はもうおやすみ、とロスの瞼を覆ってやった。