迷い

プチがいなくなって三日目。


カミュの事だから、とても大事に毎日世話してくれていることは分かり切っているのだけど……
どうしているかとても気になる……
なにしろ、プチは生まれてからただの一度も、1匹に離された事がない子だった。
生まれてからずっと母親のえせると一緒で、子供ができてから子供と一緒で……
母親に甘えていたころなどは、病院などで一匹にされると、目にも分かるほどはっきりと震えていた。
一人でもちゃんとペレットを食べているだろうか。
ふんはきれいな形のものをしているだろうか。
水を飲む量は足りているだろうか。
何か少しでもおかしなことがあれば、カミュから電話があるというのは分かっているのだけど、飲む水の量までは言わなかったし、うさぎの不調の兆しは日頃からウサギをよく見ていないとわからない。
「……エセルさん? 一体一日何時間そうやって電話を眺めているつもりなのかな? 俺のコーヒーはまだ?」
あっ……! ロスのコーヒー! もうとっくに出来ている……
「ごめん! すぐに持って行くよ」
少し冷めかけたコーヒーをロスの仕事机に持って行って、キッチンの片付けをしようと電話の前を通りかかり、また足が止まる。
どうしようか……。
流石に、毎日電話したらカミュも気にするだろうか……まるで信用していないみたいだし……
でも、体調を崩すのは大抵環境が変わってから三〜四日目だし……
つん、と足下に何かが当たった。
(ウサギの)ロスが、つん、つん、と鼻で私の足をつついている。ウサギ流の挨拶だ。
「有り難う。君の奥方はどうしていると思う?」
と、(ウサギの)ロスの上にかがみ込んで頭を撫でてやり、つい声に出して尋ねたら、盛大な溜息が背後から聞こえた。
「はいはい。そんなに心配ならもう寝ような? 運動して寝れば忘れる♪」
「ちょっと……! ロス! 危ない!!」
「はいはい。暴れない」
「ロス! それは、幾ら何でも無理……!」
「無理じゃない。無理じゃない。思い込みはいけないよ? まずは世界を肯定的に捉える事から始めてみようかな? エセルさん。
 プチは健康。心配しなくても大丈夫。
 エセルが気にかけるのは俺の事だけでいいからね♪」
「私は寝不足なんだ! 今日こそはちゃんと寝ないと!!」
「バスの中で寝れば大丈夫♪」
抵抗空しく、横抱きに抱えられてベッドルームへ運び込まれた……(汗)。
どうも、仲の良いミロとカミュの姿を見てから妙に対抗心を燃やしているらしく、日曜からこちら毎晩夜中三時まで眠らせてもらえない。
今日という今日は、絶対に何をされても眠ってみせる!!

コメントを残す