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月曜日、BBCのクラシックチャンネルを聞きながらメールをチェックしていたカミュは眉を寄せた。


差出人の名はアイオロス・エインズワース。
ニ学年上のパブリック時代の先輩だ。
ため息をつく心構えをしながら、マウス・ポインタをメールの件名に重ねる。
「当日の段取り」
一体いつの当日なのか、どうして段取りなのか、考えなくても光速で頭の中に答えが見えてしまっているから恐ろしい。
もちろん内容は、今月30日土曜日の事。
五日前になって送ってくるこのメールの内容を、どうしたものか、カミュは暫し考える。
多分、そうなるだろうな、と思って自分のスケジュールまで空けてあるこの気配り加減が、あの人を付け上がらせる最大の要因ではなかろうか、と薄々ならず濃く自覚するところではあるのだけれど、いつも隣にいるたおやかな先輩にはそれなりに世話になっている。彼を困らせるのは、本位ではない。
二度ほど、簡潔にまとめられた文面を読み返し、カミュは深々とため息を付いた。

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