うーん…何というか…

4ヶ月ぶりくらいで会えました。


この前会ったのがカミュの誕生日だから、結構会ってない(溜息)。こっちに来る直前に、ロスの爆弾発言のお陰で、空港で少しイラ付いていたカミュ。
何でいっつも自分ばかりが反論をしなきゃいけないんだ、少しはオレにも反論しろ、と言ってきたけど、アレ、明らかに酔ってるじゃん…。まともに取り合う方が…と言いかけて睨まれた。
ホント、カミュとロスって似た者同士だよな…負けず嫌いでプライド高くて…。(溜息)
空港から市内へは車の移動の方が大変だから、いつものように列車で移動。外に出ると、直ぐにオレはサングラスを掛けた。横目でカミュを見ると、額に手を翳して眼を細めている。
「サングラス、持ってないの?」
と聞くと、イギリスの太陽はまだここまで強くないし、お前ほど有名人でもないから、と笑われた。
別に、顔を隠すためにしてるんじないぞ?サングラス。犯罪者じゃあるまいし…。と口を尖らせたら、また笑われた。褒め言葉だそうだ。でも、確かにイギリスに居る時とは比べ物にならないから、サングラス買ってから移動するかと尋ねると、空港で物を買うのは馬鹿らしいとの事。うーん…経済観念がしっかりしているというか、なんというか…。
一先ずローマ市内の事務所兼アパートメントに行って食事をする事にした。外に行くにも、今の時期は一番日が長いからのんびりできる。事務所を抜けて屋根裏部屋に当たる居住区に行こうとした時、小さくカミュが笑うのが聞こえた。
「仕事、やってるんだ」って。
ああ、書き散らかしてる図面を見て言ったんだな、と直ぐに知れた。
「そりゃ、やってるよ…放送の無い時間に、だけど。それに、今年、少し大きな契約をしたからやれるうちにやっておかないと」
と答えると、眼を見開いて、
「何か契約が取れたのか? おめでとう!」
と言ってくれた。
なんか、黙ってるのも嘘をついているようで、事務所の鍵を閉めながら、細い階段にカミュを案内しつつぼそぼそと言った。
「…いや、設計のじゃなくて…」
「…モデルの方?」
「うん…。ちょっと今期専属の契約をしたからショー以外にも撮影とか入ってて…」
カミュはちょっと考えてから、
「フリーでやっているんだ。なんにせよ、顔を売っておくのは悪くないと思うよ。体を壊さない程度に頑張って」
と言われてしまった…。今度の契約は、新しく立ち上げた企画のイメージで香水とかもセットになってるから、色々と派手な宣伝が多くちょっと後悔する部分もあって、だけどそう言われちゃったら何も言えなくて、適当に「うん」とか言ってごまかしてしまった。しょうが無いよな…どうしてもお金欲しいし…。
斜めに被ってくる屋根に嵌め込まれた窓からは、真っ青なローマの空と赤橙の屋根が見える。寝室とダイニングキッチンしかない小ぢんまりとした部屋にカミュが居るのを見ると、やっぱりここで男二人が暮らすのは無理だよな…としみじみ思う。廊下と反対側の壁は屋根が降りてきてるから高さが半分程しかない。窓側の壁に出来るだけ収納を置いて屈まなくていい部分を広く作るようにはしているけれど…。かと言ってローマでアパートを見つけるのは至難の技だし…。賃貸がそもそも少ないからなぁ…。
ぼんやりしていたらカミュに、何か手伝おうか? と言われていた。うーん、と答えを探している間にカミュのこめかみと耳の付け根にキスしたら、途端カミュに笑われた。
「食事は後にする?」
と笑いながら聞かれて
「そうしてもらえたら有難い」
と恥ずかしさを笑ってごまかしながら言うと、綺麗に笑ったカミュが首に腕を回しながらしっかりと口付けてきてくれた。
「シャワーは?」と聞く。
カミュはいつもストップをかけてこれを使いに行くから。そうしたら、意外な事に今日はいいと言う。怪訝そうな顔をしてたら、鼻を軽くつままれた。
「済ませてきたからいいんだよ」
ふわっと心の中が暖かくなって、ぎゅうっとカミュを抱きしめてそのままウエストに回した腕に力を込めてカミュを持ち上げて寝室に移動しようとした。
カミュもじたばたし、オレはなお強くカミュを抱きしめて歩こうとして、結局二人ともケタケタ笑いながらシングルの安いベッドにダイブした。
屋根裏部屋をいい事に、オレは窓にカーテンを吊るしていない。真っ青な空と時々鳥の鳴き声が窓から振ってくる。でもそれ以外はとても静かで、オレはゆっくりとカミュの唇に口付けた。カミュの両手が上がり、オレの頭と首を抱く。この瞬間がとても好きだ。
明るい日差しが部屋中に満ちている中、カミュとするのはとても楽しい。夜にするよりわくわくするかもしれない。あぁ、夜にすると朝にはカミュとは別れ別れになるからなのかもしれない。
二回目は結局ベッドじゃせまくなって、マットレスを敷いた床でじゃれあうようにしてお互いの手足を使って絡み合った。
「これ、解れなかったら面白いね」と言ったら。
「馬鹿か?」と言って笑いながらキスされた。
復縁? してから身に染みて分かった事なんだけれど、カミュって意外とこういうスキンシップが好きなんだ。好きだけどムードには滅茶苦茶厳しい。でも、やること事態はイヤじゃないんだよな、不思議な事に。以前はそこら辺が良く見えなくて、スキンシップ事態が気が乗らないのかと思っていたけれど。
すこしうとうとして、窓からの光が金色に変わって床に伸びだした頃、ようよう置きだして、軽く食事を取ってでもまだお互いの肌が恋しくて、早々にまた寝室に移ろうとしていた時に電話が鳴った。
何だろう? と思いながら出ると、サガからで、今年の夏の合宿についての都合の確認だった。七月は忙しいけれど、八月に入ればイギリスに行けると答え、丁度カミュも居るので代わると告げた。
カミュに手短に用件を話して受話器を差し出す。カミュは穏やかな表情で受話器を耳に付け、口を開きかけた、途端、カミュの表情が硬直した。物凄い勢いで眉間に縦皺が寄って驚いていると、直ぐにその表情は消え、サガと二言三言話してスケジュールの件は保留にして貰っていた。
カミュを組み敷きながら、沢山キスをしてカミュが気持ちよがる事を沢山して、その後で
「カミュ、今年の夏忙しいの?」
と聞くと、ちょっと難しい顔をして
「そういう訳じゃないんだが…」
と言葉を濁す。
どうやら常人離れしているオレの耳にも困ったもので、実は先ほどの電話のやり取りがしっかり聞こえてしまっていた。
オレがカミュに電話を渡した直後、イギリス側の人間もロスに代わっていて、
「なんだバーロウ、またおしかけ女房をやっているのか?」
という言葉がカミュの表情を硬くさせた。その後直ぐに、鈍い叩く音が聞こえて、サガが電話口に出でロスの発言を謝罪していた。
「おしかけ女房」って、この場合カミュの事か? でも、別にカミュって押しかけて来て料理だ洗濯だ、なんてやった事ないんだが…。カミュも何でそんなに表情を強張らせたんだか…。うーん…聞いていいものやら悪いやら…。
とにかく、柔らかい吐息を吐きながらそろそろ積極的に絡んできてくれるカミュを見下ろしながら、この二人(ロスとカミュ)どうしたらいいいかなぁって事で…頭を悩ます。
ふと気がそれた事が知れたのか、カミュが深く口付けてきた。
年をとってよかった事は、カミュが時々可愛く思えるようになかったって事かな? 昔は本当に隙が無く大人だなぁと思っていたから。

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