胸が張り裂けそうな喜び!

wcup-itali0704-b.jpg音大時代の友人、パトリック、シモーヌ、ラファエロと連れ立って、ローマ市内のスタジアムでビッグスクリーンでの観戦に出かけた。四人で順番に旗を振りながら、絶望しかける気持ちを堪えながらの観戦。
そして…延長戦後半、残り2分。信じられない瞬間が訪れた!!


もうこのまま行ったらPKだろうと、ぎりぎり歯を食いしばりながら大画面を凝視し続けた。
イタリアは、ドイツに比べて体のつくりが小さい。背や筋力の重さ、後半戦での体力が不安で、前半に点を入れて、後は守りで逃げ切るスタイルでなければ勝てないと思っていた。実際、ドイツは後半の粘りに強いチームだ。それが、後半終了し、双方点が入らず、ドイツも前半ではかなりスピーディーに動いていた。いつかあの重い片足から強力なシュートが繰り出されるだろうと冷や冷やしていた。が、アッズーリのフォワードはよく粘り、常に守備には手を抜かず、危険な場面では体を張り、直ぐに一人のボールに対して三人のガードがつくなど、常に常に動き、疲れる事を恐れなかった。
後半戦では、アッズーリのパスの精度が落ち、何度もドイツ選手の重量に勝てず転がされていた。ヘディングの競り合いではやはり不利で、ゴール前では上背のあるドイツに何度もボールをカットされた。延長戦に雪崩れ込んだ。この延長戦でアッズーリが疲れ果ててしまっていたら、PKに雪崩れ込んだら、勝機は無いだろうと思っていた。実際、ドイツのGKは非常に良いコンディションにある。
延長戦、オレ達の不安をよそに、アッズーリは緑の芝の上をはじけるように駆けてくれた。はっきりと、分かった。彼らは全く絶望していないと。それからの28分は短かった。あっという間だった。そして、何が起こったのか分からない瞬間が訪れた!! ゴールポストすれすれにファビオ・グロッソが切り込むようなシュートを決めた。
我が目が信じられなかった!!
その時の広場の皆の狂喜と言ったら!!自分でも信じられないぐらいの大声で叫んでいた!!グロッソが涙を見せていたが、分かるよ、その気持ち!! 周り中が声を限りに叫んでいた。そして、自分達が、そのたった一本のゴールに執着している間に、アッズーリは更に、貪欲に次なるゴールを目指し、そしてアレッサンドロ・デルピエロが2点目を決めていた!ロスタイムでの出来事だった。ジラルディーノが圧巻のリバースパスをデルピエロにつなげていたんだ!!
この試合、何が凄いって、イタリアが本当に素晴らしいサッカーをしていた事だ。サッカーをしきったと言っていい。延長戦に入ったとき、誰もがPKの事を考えたと思う。そして、100分を経過して、ドイツは明らかにこのままタイに持ち込んでPKでの勝利を意識していた。(違ったらごめん) その中で、最後の最後の瞬間まで、サッカーのプレイの中での勝利を目指し、どんな小さな機会にも自分達の持つベストのプレイを心がけたアッズーリの総合的な、そして圧巻の勝利だったと思う。PK戦はサッカーじゃない。
今、イタリアではプロサッカー・チームの存続に暗い影が射している。今大会でもその影響が心配されていた。けれど、アッズーリは一戦する毎に自分達の得意とするサッカーの形を取り戻し、走り回り、何度も言うけれど、宝石のようなプレイを見せてくれる。そして、仲がいいんだ。ラフ・プレーに走らず、技術で勝ちに走ってくれた選手といつでも冷静なマルチェッロ監督に深い感謝と尊敬の念を送る。
きっかり12年毎の決勝進出には笑っちゃうけれど、最後までこのイタリアらしさを失わず、青い鳥のように自由にフィールドを駆けて欲しい!!
人ごみの中、何故か知らない人と一緒に近くのバールに雪崩れ込み、そこでも歓声と今日の試合の感想をこれでもかと語り合う。こういう時、歌科の連中は声を嗄らすと大変だけれど、パトリック達は楽器奏者だからお構いなし。仕舞にはビールも掛け合って大変(笑)。でも、こんなしっちゃかめっちゃかなら何度あっても嬉しいね。
とっくに深夜を回ったところで(こっちの時間では2時近かった…)、はたと今日はカミュに電話をしていなかったと気が付いてちょっと時差が心配だったけれど電話したら出てくれた。ちょっと後ろはまだ騒いでいるし自分の声もそうとう掠れてたもんで、どうしたのか聞かれた。
今はもう明け方だけれど、高揚感は消えず、明日はどんな人と会ってもこの話しか出来なさそう。もう大分喉がひりひりしているけれど、まだ話したり無い感じだ。本当に、本当に嬉しい!!(おかげでまだ眠くならない・笑)

「胸が張り裂けそうな喜び!」への3件のフィードバック

  1. カミュ・ルーファス・バーロウ より: 返信

    よかったね(笑)。
    いい試合だったよ。心配した後半のテンポダウンもなかったし。ドイツは後半延長からPKを狙っていたみたいだから、その執着の差で負けたんだろう。
    …でも、こっちは結構大変なことになってるんだけどね…(苦笑)まあ、今のイタリアに深刻になれと言っても無理だな。

  2. シュラ・アレクサンダー・コーツ より: 返信

    残念だが、全体を通してイタリアに分があったな。まあ、予選開始前には優勝候補にも入っていなかったチームが相手なのだから、そのくらいの差は見せて当然か。
    しかし、2点目は何だ、あれは。ゴール前でのんびりと歩く奴など、俺の祖父の祖国にはいらんぞ。

  3. サガ・エセルバート・シュローズベリ より: 返信

    今ワールドカップ禁止令が出ているので試合は見なかったんだが、イタリアが良い結果を出したようで、よかったね。おめでとう。
    我々のことは心配しなくていいよ、カミュ(笑)。掲示板を見たアイオリアが連絡をくれて、彼等の母上からも助言を貰ったので、なんとかなると思う。
    さて、こうなると決勝戦は、もしかするとフランス対イタリアになるかも知れないな。まあ、君達ならどちらが勝っても特に問題はないと思うが。

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