茶チビ病

昨晩、真夜中に突然茶チビの行動がおかしい事に気付く。


最近は二人とも週末の遠征に祟られて、平日が忙しい。夜の11時に帰宅して、それからエセルが軽く食事を作っている間に、えせるの小屋の掃除をして、手元に残るえせるの子供の小屋を掃除して、ペレットをやって…としていたら、ふと違和感を感じる。
いつもなら、このペレットの音を聞いて「オレにも寄越せ!!」とガンガンにパンの格子に歯を立てて音を出す茶チビが、今日は静かだ。
と思った。
静かなのをいい事に、エセルやその子供に手間をかけてやって、のんびりと居間の糞を拾ってから茶チビのパンの覆いを外す。
すると、茶チビはトイレ用のケージの上に荷物置きとして跨がせてある椅子と、隣のエセルのパンの間に挟まっている。
まさか、挟まって抜けなくなったのか?と思い、そのままほって置いて茶チビ小屋の掃除を始める。途中、どうやら挟まっているのは自由意志によるものだと分かり、エサを待たされて拗ねているのかと思い、ペレットの入ったボールを振ってやる。
茶チビ、無視。
外にも出たがらないのか?
と首をかしげていると、のそのそと出てきて、ソファの前のコーヒーテーブルの下に蹲る。
大した拗ね方だ。と感心して、そのままゴミを捨てに行き、また部屋に戻る。
こちらに尻を向けてまだ拗ねていて、食べた様子がないので、好きなペレットの一本を摘んで鼻先に持っていってみる。
茶チビ、ふいっ、と顔を背けてカーテンの後ろに隠れる。
そこまで捻くれなくてもいいだろが!
と思いカーテンを開けると、今度はテレビ台の下のさらに壁際にくっ付いて蹲る。
見ていると眠そうだ。
首がうとうとまどろむように左にかしぎ、瞼も重く落ちてくる。
眠いのか?
とも思ったが、食欲がなんらかの原因で減退しているとも考えられたので台所からリンゴを持ち出し、爪で表面を引っかいて鼻面に突き出してやった。
茶チビ、ふいっと、顔を背ける。
これは、少々おかしい。
そう思って、じっと観察を続けると、左にかしぐ首はまだしも、眼球の動きがおかしい。
横に、ドリフトしているのだ。
左から右に目玉が動いていき、はっとしたようにそれを茶チビは直す。そして、また眼球は流れていく。
触ろうとすると逃げる。
ドウコに電話をする。
エセルが何か感じて台所から出てくる。
オレがドウコに話す内容を聞いて、エセルが茶チビを観察する。そして、この居間を逃げ回られては大変とパンに追い込んだ。
で、その時に見えたんだが、茶チビの腰が砕けている。
どうも見ている間に奇妙な感じが増幅しているのと、ドウコから言われた腹に毛が溜まっていたり、ガスが溜まっていたり、にも見えなくなってきたので、初代えせるの事もあって兎に角体力のあるうちに病院につれて行く事にする。
異変から気付いて2時間半後、電話でドウコを呼びつけてドウコが愉気をすると少し後頭部のブヨブヨ感がおさまる。そのままドウコの後輩がまだいる大学のエキゾチック・アニマルに直行。
電話をしたところ、オート・ヴォイスになってしまったが、大学のICUには兎に角誰かは24時間居る、という事なので、もうそのまま車で乗り付ける。
そこにはウサギ専門医が二人居て、とりあえず片方がこれから45分後に到着するとの事。
この時点で病院の時計は午前三時を示していた。
それからドウコとエセルと俺とで待つ事1時間15分。
やっと医者が現れた。
まだ若い感じのする女医は、もうぐるぐると目を回していて、座れもしない茶チビを前に暢気に問診。
そこには多分実習生の助手も居て、その学生にも調べさせてやりながらの数十分。
体重1.27kg
腹にはちゃんと食事が入っていて(つまり、24時間何も食っていない状況では無い、との事)、毛詰まりガス詰まりではない、との事。
耳のドラムもパーフェクトに綺麗。
歯、口内もパーフェクト。
毛並みも美しい、
という事で一体何なんだ?
となると、女医はとても自信ありげに、パラサイトの確立が高いと言う。
耳の中に問題が無いことから、中耳炎・内耳炎による三半器官の狂い、という線も低い。
血液検査の結果は二週間後だが、薬の投薬は直ぐに始めると言う。
もうこちらで出来る事も何もないので、そのまま大学病院に残す。
明日の(もう今日のだが)朝に電話連絡をくれるとの事。
ドウコには礼を言って病院で別れる。
エセルは顔を強張らせている。
まあな…あいつが一番どこも故障がなくて、元気だけが取り得のようなヤツだったから、意外の限り。
帰宅して、少しネットや本を調べてみると、アメリカなどの統計では70パーセントのウサギがキャリアである事。希少な症例ではない事、などは分かったが…。
投薬で何処まで行くか、ドウコのところで愉気もしてもらうが…。

まあ、いなきゃいないで、ガランとしたヤツのパンの中が目障りだな…。

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