エセルの代わりに茶ボロを病院へ連れて行った。
ちょうど、症状が発生してから一ヶ月。今日の目的は血液検査。この結果を見て薬の投与を継続するかしないか判断するつもりだった。
予約はしてあったのでそれ程待たずに(大学の中の病院のくせに冷房がもう入っていた)出迎えが来た。
しかし、男だった。
なんでだ? なんで今日はあの大柄な女の医者じゃないんだ??(大柄で西部的な匂いがするが、女は女だ) なんで俺が茶ボロの事で男と握手せにゃならんのだ! と思いながら診察室へ入る。
初診時と同じ事を聞かれる…。
おーまーえーなー!(怒) そこに、その診察記録に、書いてあるだろが必要な事は!!(怒)
女がどんくさいのはいいが、男が牛でどうする!!
暫くしてからもう一人、女が入ってきた。ちょっとトウが立っている。交代交代触診や心音を聞いている。
…こいつら、まだ助手だな…(溜息) しかも、女は指輪してる。どうりでなんか初々しさがない。
そのかん、茶クズはつるつる滑る診療台の上で逃げようと必死。しかし、滑って進めない。その事に興奮する。
ようやっとこの二人タオルを下に敷いてやれば落ち着くのではないかという発想を得てタオルを用意する。しかし、何故かそのタオルを四つ折にまで細くして、その上に茶クソを乗せようとしている。
……よく分からん人種だ…。
何の薬の投与を続けているのか問われ(それも、お前のその右横にある診断書に処方箋の原本があるだろうが、と思いつつ)、持参したoxibendazoleの入ったシリンジを見せる。
oxibendazoleに変更したのは、3月30日の金曜の晩からで(それは経過を休日を使ってしっかり観察できると踏んだからだ)、30日分貰ってはいたが、0.1mlずつそのシリンジから搾り出すのに最初はかなり失敗していた事もあり、もう3日分しか残っていない。薬の投薬を続けるならまた処方箋を出してもらう必要がある。
以上の事を説明すると、男は、そうですよねぇと暢気に答える。
暫くしてから、もう一人の医者が現れる。ははあ、こいつが大ボスか。立派に髭を蓄えた博士のお出ましだった。気になる点はあるか尋ねられ、こいつならまともに会話ができると踏んで、エセルが気にしていた疲れやすくなったように見える旨を報告(少しダッシュで走ると直ぐに休憩を取るとエセルが言っていた)。
予想にたがわず、非常に端的にはっきりと所見を述べ返された。
- 症状は抑えられたが、根治ということがない病気
- 繰り返し発生する可能性がある
- しかし、症状はコントロール出きるものである。
- 一ヶ月投薬を続けた結果がこれなので、投薬は一旦終了とする
- 血液検査の結果は、一週間後、もしくはもう少しの時間で電話連絡をする
その後血液検査に茶クソは捕獲されて消えた。
戻ってきたあの牛男は、茶クソがあまりにも元気に暴れるので体が熱くなったと言っていた。
(それはお前が牛だからではないのか?)
さらに、それで、二箇所から血液採取をしてしまった、と。
(決まりだ。こいつは牛だ)
会計で、何回血を採りましたか? と聞かれ、知らない、と答える。
茶クズを車に詰めて、一旦アパートに帰り、ペレットをやる(エセルに、車で移動する前に食事を取らせると酔う危険があると言われていた)。
酔った様子もなく、干草まで食す。
まあ、なんにせよ、これで病院事とはおさらばしたいものだ。
そういや、こいつ、肥えてたぞ。1.36kgだった。