ヤバイものを見てしまった…?!

本番まで残すところ後一週間。 激安0.01ポンドチケットが目玉のライアンエアーのチケットを握り締めてロンドンへ。


0.01ポンドのチケット、と言っても手数料や税が入れば20ポンドくらいにはなる。(それでも十分安いけど)
ローマ-ロンドン間のチケットでは、ローマ発はフィウミチーノ(レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港)ではなくシャンピーノ。
ロンドンもヒースローではなくイーストミッドランドで、ロンドン中心まで出るのに2時間は掛る。
けれど、その交通費を考えても、やっぱりイギリスに行くにはライアンエアーが一番だ。
現地集合でスタジオ前に集まる。
今年、ロスは良く練習が出来たみたいで、俺はサガと一緒にゲストの扱いで単品を弾くだけ。合わせる必要性は結構低かったりする。日帰りでローマとロンドンを往復するほどの価値があるかどうか……。
電話口で沈黙してしまった俺に、カミュが一晩くらいなら泊めてやれるが、と。
この時期、カミュは目が回る程忙しい。
構って貰えない事が分かっていてカミュのアパートメントに行くのもなぁ……、とさらに唸ると、
お前の好きにしろ、
と言われる。
本当に忙しくて構えない時には、はっきりこの段階で言うだろうから、じゃあ、行っても邪魔じゃないんだな?
と結局考え直し、一泊させて貰う事にした。
久し振りに会ったシュラは相変わらず無口に元気。
ロスも、サガが実家と揉めていると聞いて予想した様子とは異なり、いつもどうり元気だった。
ただ、サガはやっぱりちょっと元気が無いかな。
夏に亡くなってしまったうさぎや、新しく来たうさぎの事を話している時、何度か溜息を漏らしていた。
実家の様子を尋ねると、苦笑しながら弟と相変わらず押し問答を続けているとの事。
早く、色々思うように事が進んでくれればいいのだけれど……。
合わせが終わったのは7時に差し掛かった頃。
5時を過ぎれば真っ暗になるロンドンの街中は、クリスマスのイルミネーションで賑わい、ショーウィンドウの中も華やかだ。
「何か食べて帰るか?」
横を歩いていたカミュが、口から白い息を零しながら尋ねる。
「うーん。なんか、熱っつ熱っつのリゾットが食べたい気分だけど……カミュ、仕事があるんだろう? いいよ、真っ直ぐ帰ろう」
カミュは、一瞬何か言いたげなふうだったけれど、特に言葉は続けず、二人でチューブの改札を潜った。
しかし、カミュのアパートにに着くとびっくり仰天で、冷蔵庫の中には買い置きのミートローフとレタスと人参二本、セロリ。
あ、ジャガイモと玉葱はキッチン奥のパントリーにあったか。
で、冷えたミートローフにレタス千切って乗せて、ワインとバケットとチーズを食卓に置いたら、さあ食べるぞ、と一言。
えーと……。
俺が食えるものって言ったらバケット、チーズとレタスぐらいじゃないか?
朝からクラッカーくらいしか食べてない自分としては、せめて何か温かいものが食いたい!
(ライアンエアーには機内食なんて無いし、電車のりついでローマ、ロンドンを移動しているうちに食べる機会を逃してた……)
「だから、外で食べるかと聞いただろうが」
冷たくギロリと睨むカミュにお願いして、俺が何か作っている間メールの確認とかしてて貰う。
食料棚を探していると、まだ乾燥トマトが在ったので、それをざっくり刻んで、米と生野菜と一緒に鍋に入れてミネストローネを作る。
温かい飯だぁ!
一段落したカミュも誘って仕切りなおしの遅い夕食を取る。
食後、また机に戻ったカミュに断って、先にバスを使う。
その後、暇なのでカミュの本棚を覗いていたら、結構凝った作りのアルバムが隅っこの方に押し込んであるのを発見して、引っ張りだしてページを捲った。

……………。

えっ……と…………、これ、カミュ……か?
中身は赤いストレートのウイッグと真っ黒の、でも派手な飾りが沢山ついた服。
きつい化粧に、殆ど黒に近いような口紅……。
スカートだけど……
化粧してるけど……
これって、
この目って、
どう見てもカミュだよなぁ…………

滅茶苦茶固まった。
どのくらい手が止まってしまっていたのか、でもこのページだけかもしれないし…と、恐る恐る別のページを捲る。

……捲っても、捲っても、黒いスカート履いて、化粧しているカミュの写真だけだった……。

うわ……どうしよう……。
これって、隠してあったのか??(汗)

「ヤバイものを見てしまった…?!」への4件のフィードバック

  1. カミュ・ルーファス・バーロウ より: 返信

    いや? 別に隠してないが。
    前からそこにあったぞ?

  2. ミロ・アーヴィング・フェアファックス より: 返信

    ぎゃあ!!!!!!
    突然後ろから声を掛けるなっ!!!! 心臓に悪いじゃないかっ!!!!

  3. カミュ・ルーファス・バーロウ より: 返信

    ……そんなに驚かなくても……(汗)
    パリにいた頃の写真だよ。アート系の連中はこういう事が好きで、やれやれって煩いから…
    ハロウィンのバカ騒ぎのときだけ、連中の遊びに付き合っていただけだ。
    まあ、女の子にはそれなりにもてたんで、悪い気はしなかったけどね(笑)
    しかし、女性の心理はわからないな……何故男の女装を見て喜ぶのだろう? 彼女達の方がずっと綺麗なのに。

  4. ミロ・アーヴィング・フェアファックス より: 返信

    女の子にもてると、カミュ、嬉しいんだ……。

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