英国の音楽雑誌

これ、
www.john-robert-brown.com/classical-music-magazines.doc
におちてたものです。転載許可はとってませんが(どうもホームページの表リンクから辿れない)そのうち消えちゃうのは勿体ないので、ここに個人的メモとしてはっておきます。文章はオリジナルから一切手を加えていません。
どなたがお書きになったのか知りませんが、助かります(TT)


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イギリス、クラシック音楽雑誌のいま
 イギリスのブックストアや新聞販売店をのぞいて、クラシック音楽雑誌を探してみると、つぎの3つの雑誌が目に止まります。──『Gramophone』『Classic FM Magazine』『BBC Music Magazine』
 イギリスでクラシック音楽雑誌は他にも出版されていますが、この3つがもっとも有名で、どれも内容が充実しています。いずれも光沢紙を使い、フルカラー印刷、そして膨大な量の広告を載せ、発行部数や読者層についての競争意識があらわに示されています。
 『Gramophone』は1923年創刊。「レコード産業とともに成長した」といわれています。しかし、ドイツで1880年に初めて再生装置が発売され、アメリカでは同様の蓄音機が1893年に発売されたのですから、『Gramophone』が出現した時点で、すでにレコード産業は少なくとも20歳をむかえていたことになります。それでもやはり、間違いなく、今日『Gramophone』はこの手の雑誌でもっとも優れたものとされ、最近ではこれまでの最高販売部数を記録しています。そして自社広告の中では、「『Gramophone』は、すべてのクラシック音楽愛好家にとって理想的な手引きです。『Gramophone』は熱心な愛好家の方も、コレクターも、気軽に音楽を聴く人も誰でも、興味深く感嘆するような評論やインタビューをお届けします」と謳っています。
 『Gramophone』には、『BBC Music Magazine』と『Classic FM Magazine』というふたつのライバルがいます。どちらも、有名なラジオチャンネルを持っている関係で有利な立場にあります。BBCについては説明はいらないでしょう。BBCは世界的に有名な放送サービス組織で、テレビ局部門のライセンス料金*による収益からも、出資をされています。雑誌が取りあげる範囲は幅ひろく、世界の音楽やジャズも含んでいます。11月号付録のCDは、鈴木雅明氏指揮、バッハ・コレギウム・ジャパンによる、バッハのカンタータでした。そして雑誌中のある記事は、その録音がおこなわれた神戸の教会のことが、カウンター・テナーのスターである米良美一さんと、ソプラノの野々下由香里さんについての情報とともに、紹介されていました。
 Classic FM は、イギリスでもっとも成功している民間ラジオ局で、1992年に開局の比較的新しい民間放送網です。Classic FMは週におよそ650万人ものリスナーが聴いており、そのうちの130万人は、25歳以下だといいます。イギリスの全人口が、日本の半分以下の6千万人であることを考えてみてください。『Classic FM Magazine』は、名前を同じくするラジオ局のスタイルを受け、クラシック音楽の愛好家として音楽を楽しんでいるが、自身を専門家とは思っていないという人たちむけに作られています。雑誌は、ラジオ局のと同じように、わかりやすく、時に苛だちを感じるほどの単純なアプローチを採っていて、事実よりもむしろ、音楽の楽しさを強調しています。ラジオでは、たった今流れた曲の作曲家の名前を伝え忘れることすらあるのです! でももちろん、ラジオ局の名前はいつもしっかり流れてきます。このように、ふたつのラジオ局(BBCとClassic FM )は、異なったスタイルを持っています。
 イギリスでは、発行部数監査局(ABC)が、雑誌の販売部数(流通、発行部数)と、購読数(読者層)を集計しています。ほとんどの雑誌が監査を受けています。それに比べて、日本では3,500の雑誌が出版されている中で、たった128誌が発行部数の監査を受けているに過ぎません。ここにもわれわれふたつの国の違いがあらわれています。これに加えてイギリスでは、雑誌社自身が水増しして申告をしているので、比較はあてになりません。
 『BBC Music Magazine』は、月間発行部数7万8千部で、世界でもっとも販売数の多い月刊のクラシック音楽誌だといいます。最新号は132ページで、」3.99(日本円で約780円)。これは、『Classic FM Magazine』や『Gramophone』とほぼ同じ価格です。最近では、『Classic FM Magazine』が公式な数値で4万2千部に届きました。3誌とも、先に紹介したバッハのカンタータのような付録CDが、いつもついています。このような雑誌の記事に関連した録音は、寄贈として提供されています。これはイギリスでは一般的なことです。2001年には、2,300万枚のCDが出版物の付録となっており、これはその年の総売上枚数の10%を占めるほどです。こうした傾向は増加しつつあります。
 雑誌のスタイルを覗いてみるために、『Gramophone』のホームページ(www.gramophone.co.uk)をごらんください。このサイトには、毎日の国際クラシック音楽ニュースのサービスもあり、コンクールや『Gramophone』の出版物の紹介、レコード・レビューのアーカイブとしては世界最大だという、1983年にまでさかのぼってのCDレビューについての、雑誌のオンラインデータ・ベースのセクションがあります。そしてGrove Dictionaryとの提携により、読者がGrove Concise 音楽辞典のすべてのコンテンツに自由にアクセスできるようになっています。
 これらの3大雑誌と並んで、新たにひとつの雑誌が出現しました。2000年3月に創刊の、『International Record Review』です。光沢のある外観は「3大雑誌」と同じだし、価格も同様ですが、無料の付録CDはなく、できる限り多くの新リリースの完全なレビューを掲載することに専念しているといいます。ロンドンを基点としていますが、『International Record Review』は地域限定誌ではありません。
 出版部数の少ないもの(定期購読で購入されているもの)は、より演奏家や先生むけに創られている雑誌です。この手の雑誌のひとつに、ニュースと特集、そしてより多くの広告を掲載した光沢紙の外装の『Classical Music』があります。これは隔週発行で、主に芸術関係の経営者や音楽家によって読まれ、もっとも重要な専門誌です。例を挙げれば、私は最近この雑誌に、新しくできたミューザ川崎ホールについて記事を書きました。この雑誌は、比較的多くの読者を得ていますが(約2万人)、『Classical Music』は、ロンドン・フェスティバル・ホールの横にあるもののような、大きくて流行っている本屋などでしか目にすることはできません。『Classical Music』を発行しているのはRhinegold Publicationで、この名前はワーグナーのオペラの
タイトル、『Das Rheingold』のもじりです。この出版社のその他の雑誌は、『Music teacher』『The Singer』『Early Music Today』『Classroom Music』『Piano』などです。
 その他のこうした専門家むけの出版社といえばOrpheus Publicationsで、『Strad』『Double Bassist』『International Piano』『Record Collector』『Choir and Organ』などが主な雑誌のタイトルとして挙げられます。『Strad』(Stradとは有名なヴァイオリンメーカー、アントニオ・ストラディヴァリの略称)のサンプルや、ご紹介したその他の雑誌へのリンクは、www.thestrad.comにあります。
 その他、より専門的な雑誌の情報は、各専門楽器協会のサイトからリンクされたホームページで見ることができます。すべてをご紹介することは誌面の都合上難しいので、ここではその一部のリストをご紹介します。
フルート(British Flute Society): www.bfs.org.uk
クラリネット&サックスフォン(Clarinet and Saxophone Society of Great Britain): www.clarinetandsaxophone.co.uk
リード楽器(Double Reed News): www.bdrs.org.uk
ベース楽器(Double Bassist Magazine): www.doublebassist.com
トロンボーン(Trombone Society): www.trombone-society.org.uk
フルート(Flutewise): www.flutewise.com
トランペット(International Trumpet Guild): www.trumpetguild.org
ホルン(Horn Society): www.british-horn.org
リコーダー(Society of Recorder Players): www.srp.org.uk
ヴィオラ(Viola d’amore Society of Great Britain): www.vdgs.org.uk
ヴィオラ(Viola Society): www.viola.com
ヴィオラ(Viola da Gamba Society): www.vdgs.org.uk
チェンバロ(British Harpsichord Society): www.harpsichord.org.uk
 より小さなものでは、イギリスの作曲家に特化したさまざまな協会があります。これらの多くが雑誌を発行しています。
Ralph Vaughan Williams Society: www.rvwsociety.com
Malcolm Arnold Society: www.musicweb.uk.net/arnold/arnold.htm
Elgar society: www.elgar.org
Delius society: www.delius.org.uk/g_society.htm
 出版物の売り上げが緩やかに下降の線をたどり、ラジオ、テレビ、インターネット、Eメールやコンピューターゲームのような娯楽があふれるこの時代に、今でも多くの雑誌が栄えているのはすばらしいことです。この現状が、長く続いてゆくように……。


上記の文章は、祥曲が書いたものではありません。
www.john-robert-brown.com/classical-music-magazines.doc
におちていたものです。