World cupが終わった。
昨日の三位決定戦は本当に良い試合だったと思う。…が、決勝戦は何とも気分の悪い終わり方をしてしまった。
まさか、サポートしていたチームが再び同じ過ちをやらかすとは……(溜息)。
ご丁寧に、PKで負けるところまでフランスはイングランドと同じ道を辿ってしまった。
しかも、イングランド戦で切れたのは21歳の若者だったが、何も34歳の司令塔が最後の舞台で切れなくてもいいだろう……。
チームメイトはジダンに有終の美を飾らせようと必死だったのに、肝心の本人が最後の最後で悪癖を繰り返した。何がそんなに彼を怒らせたのか、多分謎は明かされないまま終わるのだろう。
ドメネク監督は「この試合の最優秀選手は、ジダンを退場に追い込んだマテラッツィ」と言ったらしい…まあ、これはフランス人らしい皮肉(イタリアは、後半足が重かったもののよく耐えていたから、ジダンが最後まで居たとてPKは避けられなかったかもしれない)だとしても、どうもゲームの外で相手選手を挑発して追い出してしまえ、という駆け引きはあまり好きじゃない。第一、ジダンが居ないフランスに勝って本当に嬉しいのか? 今回のフランス代表など、ジダンが抜ければまるで話にならない事など、本人達ですら認めているというのに。
無論、それを知っていて切れたジダンが責めを追うべきだが、ジダンの最後の試合を少しでも長く見ていたかった人々が、折角の試合にけちをつけた責の幾分かをマテラッツィに負わせても仕方がないという気がする。ルーニーの場合など、挑発したC.ロナウドはついにイングランドを追い出されることになりそうだ。それもまあ大人気ない話だが、どうも、自分の品性を落としてまで相手チームの人間を蹴落としてもあまり良い事はない、という気もする(本人は英国を出られてむしろ喜んでいるようだが)。
しかし、そんな事件を横において考えれば、やっぱりイタリアは最後まで勝負強かった。当初、伝統のスタイルを超えようとして悪循環にはまったが、例え不利な場面でも耐え切って好機を確実にものにする、という伝統で結局勝った。派手ではないが、イタリアらしい勝ち方できっと地元は喜んでいるだろう。願わくば、大会前に発覚した不祥事に対する恩赦が多少なりとも与えられんことを。
…と、気分の悪さに整理をつけて仕事にとりかかったところへ、ミロから電話がきた……。
珍しく酔っている様子で、夏中飲み明かす、などとはしゃいでいる。受話器の向こうからはひっきりなしに爆竹の音。
一瞬あまりの能天気さに腹が立ったが、まあ、ローマにいれば仕方のないこと、と諦める。
逆に、これで負けていて果てしなく落ち込まれても困るし……(そういうケアはアイオロス先輩一人で十分)
弾丸のように今日の試合の報告をする(途中イタリア語が混じってよくわからなかったりするが…本当に酔ってるな…第一見たから全部知ってるというのに…)のを適当に相づちを打って聞いていたら、こちらの気の無さが知れてしまったのか、「ローマへ来て一緒に騒ごう」などと言い出した。
一体、何を考えているんだ、あいつは!!
何でこの私が、イタリア人に混じってイタリアの勝利を祝わねばならんのだ!!!
怒るべきか、皮肉を言うべきか、しばし迷っているうちに、聞くに堪えないぶっこわれた合唱が受話器から聞こえて来て、怒る気力も失せてしまった。相手は酔っ払いだ(ミロも含め)。まともに相手をすべきではない……
話があるなら酒をぬいて、騒がしい外野のないところからかけて来い、とフランス語で釘を刺して電話を切ってやった。
まだ理解する脳味噌が残っているなら、明日あたり私の台詞を解読してまた連絡してくるだろう。……多分、今頃まだ切れた電話に向かって「何?」とか言い返してるに違いないが。
さあ、仕事、仕事。