遂にジダン本人の口からコメントがあったようだが、差別発言をしたか否かでは予想通り双方の主張は食い違っている模様。
どちらも頭に血が上っていただろうし、これ以上FIFAは何を調査するのだろう、という気もする。そんなことより、事件再発防止に力を注いでもらいたい。
今更MVPの剥奪なんて本当にするつもりなんだろうか。まあ、多分ジダン本人にとっては、MVPなど最早どうでもいいことなのかも知れないが。
巷には、ジダンに同情的な声、ルールを守らない暴力と言い切る声、色々溢れているが、彼の母親のコメントを見て問題はそう簡単ではないと実感した。
彼の母親は、息子の行為を誇りに思っている。ならば、彼はそういう風土の元で育ったわけで、外野が何を言おうと家族を侮辱されて黙っているわけにはいかなかったし、これからも黙っているつもりはないのだろう。
ゲームの中なのだから、と彼の行為を蔑むことは出来るが、ではそう言い切る人々に、全てを代償にしてもいいと思える程大切なものがあるのだろうか、とも思う。自分には多分そんな熱はないだろう、そう思うから、余計に彼の行為をただ非難することが出来ないのかもしれない。第一暴力といっても、ジダンは顔を殴ったわけでも、ゲーム続行に問題があるような部分に蹴りを入れたわけでもないのだ。殆ど影響のない部分に、頭突きという報復手段としては甘すぎる一撃を見舞っただけで、マテラッツィがかつてピッチを下りた後に流血沙汰を起こしたのと対照的ですらある。怒ってはいてもそれだけの理性はあった、ということだろう。
損得を考えれば、得策ではない、それでも損を選ばざるを得ない人々、そこに誇りを感じる文化もあれば、愚かだと切り捨てる文化もある。結局そういうことなんだと思う。だからこそ互いの文化を尊重して、逆鱗に触れるような真似をすべきではないし、ましてや技術を競うゲームの中にそんな低次元の戦いを混入させるべきではない。
いっそ、今回のような問題を起こしたら双方とも即レッドカードの上次の試合は交代枠一人減らすようにしたらいいと思う。
ワールドカップまで来て捨て駒になりたい選手はいないだろうし、次の試合まで響く傷を負う覚悟で挑発する輩もいないだろう。
さっさとこの問題にかたをつけて、いい加減、皆でイタリアの優勝を祝う空気になればいいと思うんだが……。
何処を見てもこの話題ばかりで、流石に少々イタリアが気の毒になってきた。