昨日、帰宅してみると、急ぎで製図を起こして欲しいと仕事が一件(突発)。目処が付いてから仮眠しようと、徹夜でやるも終わらず、どう頑張ってもカミュと夕食を一緒にとる事は厳しくなってきたので、明け方にメールと、ロンドンを出るくらいを見計らって電話を掛けた。
ちょっと、昨日の件でイラだっていたのが残っていた様で、信じられないボンミスをして一時CADの情報をパーにする所だった。何とか夕方までに図面を送って、仮眠して、シャワー浴びて着替えて、ベネト地区のオープン前のレストランの前に立つ。
一応、カミュの仕事の関係だから、ドレス・コードを気を付けて…としたら…何だかちらちらと見られて落ち着かなかった。漸くカミュと合流できて、レストランの鍵を開けて貰った時には知らず肩の力が抜けた…。今までこんな事無かったのになぁ…(溜息。どうせ時間の問題で直ぐに忘れ去られると思うけど)
レストランの内装は、とても落ち着いた感じで、一つ一つの家具なんかもよく吟味されていた。ターゲットにする年齢層や通行人の需要、レストランまでの通りの雰囲気など、細々と確認して、ここを後にしたのは22時を回っていた。アパルトマンに戻る頃は23時も過ぎていて、カミュにシャワーを先に使ってくれるよう頼む。
その間、オレはもう一度メールのチェックをする。(タオルとか渡す時に、既に床に広げてあるマットレスを見て笑われたと思うのはオレの気のせいか?)
カミュと交代でシャワーに行き、ふと悪い予感。
タバコ…片付けるの忘れたかも………。
恐々戻ってみると、カミュはテーブルの上に紙を広げて何やら一心にメモや落書きをしていた。
明日の飛行機の時間と起きる時間を確認して、カミュの携帯にも目覚ましを掛けてもらう。
(このうちには「目覚まし時計」は無い。そもそも面倒くさくて時計を置いていない。時間の確認はPCか携帯で済ましているので)
まだ少し湿っているカミュの髪を梳きながらいろんなトコにキスをしていると、カミュの掌がパシッと眉間に当てられた。いつの間にか眉間に縦皺が寄っていたそうで…。
考えていたのは、このまま恋人が居ないとか、恋人がいるのかどうか不明とか、ボヤケタ状態にしとくのがイヤだなって事と、だからと言ってカミュの事を、カミュの承諾ないままに恋人として周囲に言ってしまうのもどうか、という事と、いっその事自分がゲイ(違うけど)だって事にしてしまえば面倒は無くなるか、とかちょっとぐるぐると……していた。
そのまま言ったら、カミュには、ゲイだと言うのは一応カトリックの国では不利になりかねないから見送った方がいいのではないかという事。イギリスに恋人が居る、というのは自分は全く構わない、という事だった。
あ、そうなんだ?
とても拍子抜けした。
自分がゲイだって言わずに、イギリスに恋人が居ると言ってそういう話をしたら、カミュの事を女の子扱いする事になるから、物凄く気兼ねしていたんだけど……。
なんか、こんなにあっさりOKが出るとは思わなかった。
なんだ、いいんだ。
じゃあ、これからは大手を振ってイギリスに恋人が居ますって言わせて貰おう。
こんな事ならもっと早く聞いてみれば良かった。
で、翌朝。
先に目が覚めたので着替えて、寝室を覗いてみたら、まだカミュが寝てた。
目覚まし時計が鳴るのは後10分くらい後というところか。
珍しく、仰向けで寝てたから(いつもはうつ伏せ)、ちょっと布団を捲って口に入れたら直ぐに起きてしまった。
で、いきなりひざ小僧で人の肩を蹴飛ばして、それだけなら未だしも、掌で人の顔をぎゅーっと押し退けて浴室に行ってしまった。
朝立ちって言うから、抜いてやろうと思ったのに、と言ったら、思いっきり冷たい目で睨まれた。
今度会えるのは今週末の金曜日。
朝の忙しい時に余計なことをするからだ。<蹴り
結構、意外な事を気にするんだなあ…。
どうせ皆私の事は知らないのだから、構わないのに。
(アイオロス先輩のように、写真を見せて彼女だの奥方だのと紹介するのは勘弁して欲しいが)
私は、その手のことを聞かれたら、ただ相手は居る、と答えることにしているけれどね。
それから、ゲイ宣言は絶対止めておけ…(溜息)。
お前、自分がどれだけその手の人間の垂涎の的になり得る容姿か、分かっていないだろう?
まあ、女性にも勿論その十倍はもてるだろうけど……
女性といえば、洗面台にどう見ても女性ものの歯ブラシが置いてあったな。お前の妹のかもしれないし、別に詮索する気はないけど、ちょっと吃驚したよ。
相手が居る、って言っても追求が止まないから困るんじゃないか…。その後に絶対、じゃあどういう人なんだとか、名前はとか年はとか、何処に居るんだ、とか続くんだよ!!質問が!!(大学の時からそうだった!(憤))
>ゲイ
モデルやってる友達の中にはまあチラホラ居るけど、みんな気さくな人たちだよ?パブリックの低学年の頃ならいざ知らず、その手のからかいや悪ふざけは全くないから、心配だけ有難くもらっておくよ(笑)
>女性
も、家の家系女系だからあんまり構えない分、親近感を持ってもらえている場合が殆どだと思う。カミュの方が学生時代の頃から男女構わずモテてたと思うけどなぁ(笑)
それから、その歯ブラシ、今撮影一緒にしてる子のだよ?
中々苦学生で頑張ってるから、時々食事に誘ったり、あんまり誘っている向こうが負担に思うから食事お互い作って食べたりしてるんだよ。
今回カミュは時間無くて会えなかったけれど、今度紹介するよ。若いのにしっかりしてるんだ(笑)
九月に公演するから、良かったら一緒に見に行かないか?
追求されるのは隙があるからだろう。
私は追求されたことはないよ。
それから、お前の耳には届いていなくても、こちらにそれとなく問い合わせが来るので是非煽るような真似はやめてくれ<ゲイ。
お前がロンドンに居た頃には、誰かと付き合っているようだが女性の影を見た事がないだの、何故いつまでも男二人で同居しているのかだの、随分聞かれたよ。はっきり、「お前の男か」って聞かれたこともあるしな(笑)。
(その時はパブで相手も酔っていて、あまりの失礼さに頭にきたのでその通りだ、と返してやったが。)
それから、お前が女性からの誘いがないと思い込むのは勝手だが、本当に、加減を誤るなよ……(溜息)。
何か、話だけ聞くと、彼女の方はお前に気があるように聞こえるが……。
(イタリアの女性はよく知らないが、その気もないのにそんな簡単に男の家に寝泊まりしたり、洗面道具置いて行ったりするものか? しかも同じ誌面に載っているモデルで、ジャーナリストの目もあるだろうに。)
まあ、お前が気に入ってるなら、別にいいけどね。
>隙
いや。今度は大丈夫!
今まで、なんとなく嘘付いているような気持ちがあって、それがきっと隙になっていたんだろう。
今度からは、大っぴらに自慢する。
>ゲイ
……そんな話、初めて聞くんだけど…?(パブ)
………ていうか、なんで、カミュがオレの「男」な訳?!! 誰だよっ!! そいつ!!! 失礼なヤツ!!!!
>加減
……うん。気を付ける。(そうだよな…オレの方が年上だし、彼女に変な噂が立ったら困るものな…)
それと、泊まるって言っても、彼女翌日のバイトがうちらからの方が近かったから、一回泊まっただけだよ。寝室はもちろん別々だし、多分歯ブラシはバタバタしたから忘れて行ったんだと思う。
ごめん。ちょっと配慮が足りなかった。