結局4日間休んでしまった……。
金曜日の朝にミロがやって来て、演奏会に行き、映画を見て、月曜の夕方にヒースローまで見送りに行った。
四日もあったはずなのに、何だか一泊二日くらいしかなかったような気がする、と言ったら、「ほとんど寝てたからね」と笑われた。
…しまった。そういうことか。
言われるまで気付かなかったのが間抜けで、……初日にコンサートに出た以外は殆ど外出していない。勿論、ミロの家よりは部屋数もあるし、仕事の話などもしたから、文字通り寝てばかりだった訳ではないのだが。
そろそろ、生産的なことを出来るようにならないと、と溜息をついたら、「生産的なことって何?」と不思議そうな顔をされた。
…それを、お互いそろそろ考え始めないといけないんじゃないか?
あまりに居心地がよくて、簡単に何日も寝て過ごしてしまう。時間さえあるなら、一週間でも一ヶ月でも同じ生活を続けてしまいそうで、時折ふと怖くなる。
ミロの方は、「どうせ一週間も休むなんて無理なんだから」と気にも留めていないようだが……
最近、少々歯止めがきかない自分が怖い。
次に来る時までに中古のピアノでも入れて、一日中楽器でも弾くか、と言ったら、それって生産的? とまた笑われてしまった…。
確かに今と大差はないかもしれないが、なんとなく、丸二日楽器を弾き倒した、というのなら許されるんじゃないか、と思ってしまうのは偏見か。
いや、別に許されないことをしているわけではないんだが。
どうにも、まだ昔のどちらかといえば淡白なミロの記憶が残っていて、あまりこちらが先走ると愛想をつかされそうな気がしてしまう。
返答に窮していたら、ピアノはまたそのうちな、と綺麗に片付けられてしまった。
……なんだか、いやに強気じゃないか??
別れ際、いつものように頬にキスをしたら、すかさず唇にキスが返って来て、びっくりして硬直している間にさっさとミロはゲートを潜っていってしまった。
あまりに鮮やかに出し抜かれて、思わず怒るのも忘れた……
あいつ、本当に、イタリアに行って1/3くらい人間変わったんじゃないか?!
追記:
エリザベス・スワンの性格が私に似ているというのはミロの激しい勘違いだ。奴の方がよほどウィル・ターナーに似ている。
だが、ジャック・スパロウは確かにアイオロス先輩かもしれないな……両刀使いの設定らしいし。