ある週末の憂鬱

アイオロスと共に、バラ・マーケットに行って来た。


食材は品も良いし、安いので、週末は必ずここへ買い物に来る。結構な量になるので、アイオロスを荷物持ちとして連れて行くのが常だったが、今日は何やら腰が重く、パソコンの前でぐずぐずしている。
何をしているのか、と覗いてみたら、旅行会社のWebサイトをいくつも開いていた……。鼻歌を歌いながら。
「急ぎの用事なのか?」
と聞けば、
「あと1分!」
と返って来た。
仕方がないので1分待ってみる。アイオロスはまだ楽しそうに何かをいじっている。
「アイオロス、そろそろ行かなければ、君の好きなラムバーガーが売り切れてしまうよ?」
「もうすぐ終わるって♪」
やけに楽しそうなので、もう一度コンピュータに近寄ってみた。何かの登録画面のようだ。クレジットカードの番号が入っている。アイオロスは、今にも 「Submit」のボタンを押すところだった。
ええと、決算金額は………
「ああああああああああああああああっ!!!!!!!」
ロスが悲鳴を上げた。
当たり前だ! 
この飛行機代の高い時期に、二人でアリゾナ州へ旅行なんてとんでもない!!!!!
勿論、コンピュータの電源を引き抜いてやった。
すっかり拗ねてしまったロスを引き摺ってマーケットへ出発。
アイオロスはまだ夢の「心臓発作バーガー」の事をぶつくさ呟いている。
君は一体、四段重ねバーガーのためにひと月分の給料を費やすつもりなのか?!
ラム・バーガーで十分だ!!!
と、急にアイオロスが瞳を輝かせ、ラム肉ショップに駆け込んでいった。
何か嫌な予感がした。
こういう時は、まだ不貞腐れてくれている方が安心できる。
と、並んだ列の方から、陽気な声が聞こえてきた……
「ラムバーガー8個、タマネギ抜きで!!」
……………。
まあ、二人でハンバーガーの為に米国行きよりはましか………。
でも、せめてタマネギとレタスは入れて欲しかった………。
そして今、満面の笑みで、アイオロスは夢の八段バーガーを作っている。
それにしても、4個がダメなら8個で、という発想に、やはりロスは新大陸で育った人間だと思い知る。
しかし、このタワー、どうやって食すのだろう?
それ以前に、この大量に余ったバンズ7個分、どう処理すれば良いのだろうか……(涙)

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