夕食を作ってみた。
カミュの方は仕事が入ったりするので、カミュが仕事で出ている時は、久しぶりにこっちの博物館や美術館、本屋などに行って過ごす。
で、こちらは遊んでいるわけだから、夕食の支度でもしといてやろう、と準備していると、ドアの開く音がして、カミュが開口一番、
「トマトの匂いが(玄関から)してくると、お前が居るとすぐに分かるよ……」
とか。
なんでも、トマト味じゃないものがそろそろ食べたいそうで。
(へんだなぁ……ちゃんと毎回違う種類のトマトを使っているんだけどな??)
その後、シティの洒落た花屋に置いてあって購入しておいたバンブーを窓辺に飾って短冊を作り、カミュに説明しながら願い事を書いた紙をぶら下げた。
願い事を書くコツは、「○○○になりますように」ではなく、「○○○になっている」と具体的に自分が望む未来を描いて、書いた後は忘れること、だそうだ。
色々と書いて、そう言えば、去年のクリスマスにはツリーの飾りつけなんてしなかった事を思い出し、バンブーを飾ってやる。
夜中、喉が渇いて目が覚め、水を飲もうと台所に来たら、ふとバンブーが目に入る。
カミュ、何を書いたのかな?
ルール違反のような気がしたけれど、近寄って、紙を捲った。
小さな、たわいもない願い事から、作業中に会話して生まれたこちらの望みの望み返しみたいなものまで取りとめも無く。
けれど、最後の一枚を捲った時、指が少し震えて、そして、胸の奥が締め付けられて苦しいような、それでも嬉しいような奇妙な感覚に囚われる。
明日の朝、自分はきっと見てないふりをしているだろうけれど、このカミュの短冊の言葉はきっと今年一年忘れないだろう。