YSAYE Violin Sonata No.2 in A minor, Op. 27
Kaler, Ilya (vn.)
http://www.classicalarchives.com/album/747313599622.html
サンプル音源の聞き方の説明はこちら
この度のプログラムは、まず殆どの方はご存知ないと思われる曲です(笑)。
というか、実はワタクシも知りませんでした(爆)。
ミロに何か弾いてもらうか、でも伴奏ピアニストはロンドンだし、そうすると無伴奏でないとまずいよな、と適当にあさっていたらイザイに行き当たった、というわけでして……
イザイという作曲家自体は実は随分昔から知っていて、この人のファーストネームである「Eugene」(フルネームはEugène-Auguste Ysaÿe、この名前からして、フランス語圏ですね。リエージュ生まれのベルギー人です)を聖闘士バージョンのカミュのファーストネームにパクったりもしています。実は。
ところが、考えてみたら、この人の曲を全く知らなかったのですよ(苦笑)。
それもそのはず、イザイの曲で有名になったのって、(ほぼ)この無伴奏ヴァイオリンソナタだけらしいんですね。
相変わらず行き当たりばったりながら、聴いてみたら思わぬ名曲でびっくりです(笑)。
こういう瞬間に、オタクやってて良かったと心から思います(マジ!)。
ちなみに、6曲の献呈先は、以下の通り。
- 第1番 ト短調 (献呈: ヨーゼフ・シゲティ)
- 第2番 イ短調 (献呈: ジャック・ティボー)
- 第3番 ニ短調 「バラード(Ballade)」(献呈: ジョルジェ・エネスコ)
- 第4番 ホ短調 (献呈: フリッツ・クライスラー)
- 第5番 ト長調 (献呈: マチュー・クリックボーム(Mathieu Crickboom, イザイの弟子))
- 第6番 ホ長調 (献呈: マヌエル・キロガ(Manuel Quiroga, スペイン出身の演奏家))
面白いのは、この6曲、どうもちゃんとそれぞれの演奏家の個性に合わせて書かれてるっぽいんですよね(笑)。
1番はシゲティ、あの生真面目な固い音には、バッハのソナタ1番を思わせる荘厳な曲調が合うし、2番はいわずもがな、甘めの音で遊び心の多いティボーには、思わず笑っちゃうようなパロディ。
3番はエネスコ、ルーマニア人のちょっと内面複雑な彼には現代風のバラード。
4番はクライスラーですが、これ、冒頭きくと「えっ、クライスラーが書いたんじゃないの?!」って思っちゃうような大見得バリバリなんですよ(笑)。
5番と6番は、残念ながらこの二人のヴァイオリニストを知らないのでなんともいえないですが、すくなくとも最初4曲はかなりピッタリな気がします。
実は、ミロに弾いてもらうのに、2番か4番かで随分迷ったのですが、「怒りの日」のパロディなんてミロなら喜んで弾きそうだなー、と思って、2番になったのでした。。
4番もカッコイイし、綺麗なのですが、これはどっちかっていうとサガのイメージなんだよなあ。。
(いや、ミロが弾いたってカッコいいと思うし、カミュは惚れ直すと思うけど!)
↑結局ミロに弾かせてしまった……カミュがミロと別れる間際に泣きながら聴いてた曲はコレ。。
和海がどういうか知りませんが、実は私の中では結構この二人の作曲家の住み分けがはっきりしてたりするんですよね。
サガ:
チャイコフスキー、クライスラー、ドボルザーク、ショスタコーヴィチ
ミロ:
ベートーヴェン、ブラームス、ブルッフ、シベリウス
あと、大バッハとイタリアの作曲家(ヴィヴァルディ、コレルリ、タルティーニ etc. ) はどっちでもOKだと思うのですが。パガニーニは私があまり聴かないのでどっちでもいいや(爆)。
どっちかっつーと男っぽい曲がミロ、いかにもヴァイオリンくさい曲がサガかな?
しかし、流石に、イザイの4番はサガには難易度高すぎか(笑)。仕事休んでもいい、って言えば根性で弾きそうだけど。
さて、話を2番に戻して(笑)。
この曲は4楽章構成なんですが、その全てに副題がついています。
1)「妄想」
2)「メランコリー」
3)「亡霊達の踊り」
4)「復讐の女神たち」
もう、これだけでも笑える(笑)。一楽章なんか、バッハが化けて出てきそう!
この、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律(こちらに楽譜があります)を幽霊にみたてるのは、ベルリオーズの幻想交響曲以来の常套手段なんだけど、このモチーフをここまで手を変え品を変え変奏曲にしてしまった例はあまりないと思います…もとはオドロオドロしい旋律なんですが、三楽章であまりにも美しく変身してしまって、「コレ、ほんとは “Di-es i-rae Di-es i-re …” なんて歌詞がついてんだよな??」と不思議になったりして。。
作曲家ってスゴイっすね(笑)。
2楽章は、コン・ソルディーノの指定、学生オケ用語では「ブタ鼻」なるものを駒につけて、わざとヴァイオリン本来のきらびやかな音を抑えて演奏するようになっています(多分。楽譜みたわけじゃないけど、音がそうだから)。
いやあ、これを最初に聴いたときは、かなり衝撃でした。なんでこんな綺麗な曲を今迄知らなかったんだ?! 自分!!!
で、それまでミロは、とにかく指をまわす早い曲が得意、あとはイタリアの古典あたりは得意だけど、ロマン派はいまひとつ照れが入ってカミュの前ではうまく弾けない、という頭しかなかったのに、これをきちんと弾ける大人のミロ、というのがふっと浮かんだのです(笑)。
何故か、サガだとは思わなかった。多分、サガは、ここまでしなくても、兄がわかってくれるからでしょう(笑)。
演奏は、いつもお世話になっているNaxosのライブラリから、一番ミロのイメージに合いそうなものを掲載しました。知らなかったヴァイオリニストですが、いい演奏だと思います。これは気に入ってもう何度も聴いているので、Barnes & Novelsのカードが来たらCDを買うつもりで、もうカートに入っていたりします(笑)。
iTuneやその他のダウンロードサイトでも買えるので、お気に召したら是非買って聴いて下さいね!
ヴァイオリンは特に、ストリーミングとmp3じゃ全然音質が違います!
あと、webのあちらこちらでこの曲一番の名演だとコメントがついている若き日のクレーメルが演奏した全曲が、長い間入手不可能だったのですが、つい去年の暮れにロシアでリリースされた模様です。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2632008
ロシア版、というのが気になるんだよな……たまに、音質がすさまじいのがあるんですよ……(涙)
でも、数人がレビューコメントつけてて、悪くなさそうだから、これも買いかな。
なんか、今を逃したら二度と買えなくなりそうだし(笑)。
こっちで買おうと思ったけど、流石アメリカ、ロシアのCDなんぞどこでも売ってくれないようで(苦笑)検索かけてもひっかからなかったので、これは大人しく日本のHMVで買って、和海にくわえて帰って来てもらいましょう(笑)。
しかし、今後の展開に絡んでくるネタを引っ張って来てしまったお陰で、本編のネタバレにひっかからないよう安全地帯を探すのが結構大変だったり……(苦笑)