報告

我が家に、四匹の仲間が加わりましたので、ご報告致します。


三月二日午前11時半、プチは無事四匹の子供を産んだ。アイオロスは、ぎりぎり出産に帰宅が間に合わなかった。
午前十時、プチは既に完成していた巣に更に草を運び始めた。草入れが空になっていたので、更に草を足してやると、それも全部巣に詰め込んだ。
ロスがプチと交尾をしているのを見たのが2月1日。ウサギの妊娠期間は通常31日だから、3月2日がまさに出産日になる。

それが終わると、暫く休憩して、午前十時四十分ごろ毛を抜き始めた。毛を抜くのは、毛が生えない赤子のまま産まれて来る子供の保温のためと、毛に埋もれてしまっている乳首に子供が吸い付きやすいようにするためだ。大量に抜くので端から見ていると痛々しいが、そうしないと、子供が乳を吸えない。

ウサギは普段口の中にものをほおばらないが、むしった毛は口の中にためているようだ。頬が膨らんでハムスターのような顔になっていた。
何度か巣の中へ毛を吐き出して、またむしる、ということを繰り返していたが、午前十一時三十分、ついに入ったまま出て来なくなった。産むかな、とビデオを回し始めてすぐに、ウサギにしてはかなり大きな鳴き声が聞こえた。

(声だけしか収録されていません)
難産を心配していたが、どうやら全部問題なく出て来たようだ。
十一時四十三分、プチは再び産小屋から出て来た。そのときには、既にお腹は小さくなっていた。

さて、出産が終わったら、次は子供を確認する作業が残っている。
ウサギの場合、所謂子食いは先天的に問題のある子でなければあまり頻繁には起こらない(ストレスを与えると食べてしまう事もある)。
が、母乳をやらなくなる育児放棄はかなり高い確立で起こるので、見てはみたいが暫くプチの様子をみてからにすることにした。
ウサギ飼育書などには、人間の手の匂いがつくと育児放棄に繋がる、という記述がたまにあるが、飼い主の手の匂いであれば、ほんの少しでも触ると駄目、というほどではないようだ。
勿論、巣を何度も覗くと母ウサギにストレスがかかるし、子ウサギを触って遊ぶのは論外だが、初日の子供の確認はしておいた方がいい。というのは、死産の子を取り出す必要があるからだ。
ウサギは無毛で産まれてくるので、死んで冷たい子がいると、その子が生きている子の体温まで奪ってしまう。それがもとで、弱る子も居るという。
半日様子を見て、プチが十分落ち着いているのを確認した上で、プチを小屋の外に出し、遠くで遊ばせておいて巣をあけた。
驚いたことに、母親のえせるよりよほど立派な巣を作っていた……。
(プチを産んだ時、えせるは巣作りもしなければ毛さえ抜かなかった。夏だったからだろうが……)

毛をかきわけて、子供を取り出すと、一匹、ぴくりとも動かない子に触れた。
全部で五匹。でも、一番大きな子は、既に息絶えていた……。

そもそも、ドワーフサイズのプチが、五匹も身ごもること自体が大変なことだ。普通は4匹程度、初産なら3匹くらいだろう。しかも、子供もえせるが産んだ子くらいの大きさはある。
一番大きな子だから、もしかすると、既にお腹の中で窒息していたのかも知れない。
他の四匹は、きれいに体を舐めてあるのに、その子だけ、体の下敷きになっている部分が汚れて毛がはりついていた。
自然の掟だとは、わかっているのだけれど。
ロスと全く同じ模様の、眠っているような顔を見ると………。
ひげも、爪も、歯も生えている。お腹の中で、直前まで生きていて、元気に動いていたのだろう。
一時間ほど前に帰って来ていたアイオロスは、それでも、この子のかわりに、シェルターから引き取られて幸せになるウサギがいるかも知れないのだから、と言った。
生物の一生は、運も不運も、きっと大きな目で見れば、全て辻褄があっているのだろう。

体をきれいに拭いてやり、花を飾ってやった。
外の木の根元に埋めてやりたいけれど、外は雪で、土は石のように固い。
暫く、暖かくなるまで、冷凍庫の中で眠っていてもらうことになりそうだ。

さて、その後、まだまだ色々問題はあったのだけれど……。
それは、また後日報告します。

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