昨日は、夕方から郊外の方へ次の仕事の下見に出ていたためホテル泊まりで、メールをチェックしなかった。
戻って来て愛用のPowerBookを開けてみると、見覚えのある面々からのメールが殺到している。
何事かと思えば、スレッドの頂点はまたしてもアイオロス先輩だった……
サガ先輩の誕生日が近い、それはいい。
スクール時代の仲間を呼んでパーティをやるというのも悪くない。
この部屋を会場にするのも別に問題はないが………
しかし、何故、あの人は人に断りもなくこういうことをするんだ?!!!!
電話を見ると、留守録のランプが点滅している。
再生ボタンを押してみると、なんと6件も入っていた。
一件目。
「サガです。また後ほど連絡します。」
二件目。無言。
三件目。無言。
四件目。
「何度もすまない。また明日連絡するよ。」
日付変わって五件目。
「サガです。アイオロスが勝手に送ってしまったメールのことで話があるのだけれど……また後でかけ直します」
六件目。
「携帯の方にもかけてみたけれど、つながらないので……。
今週末の件、アイオロスが勝手なことをして、本当にすまない。
メールにも書いたけれど、君には迷惑をかけないよう、今別の会場を手配しているところだから、安心して欲しい。
全く、ロスはどうも君をからかって遊ぶ悪い癖があるようだけれど、今度のはいくらなんでも遊びの範囲を超えている、ときつく叱っておいたから。
それでは、また詳細が決まったら連絡するよ。」
まったく………。
結局サガ先輩が振り回されているのでは、誰の誕生日なのかわからないだろう。
先輩の家でパーティなど不可能なのは、先頃増えたウサギの数を考えれば自明だし、かといって他に家を提供できるような人間などすぐには思いつかない。
場所を借りて騒げば後始末やら何やらで手を焼くのは結局サガ先輩だ。
………。
溜息ひとつでカタをつけて、受話器を取り上げた。
ま、アイオロス先輩には、先頃料理用に買った不味いカリフォルニアワインで報復してやろう。