プチのパートナー

合計4回のHRSでのお見合いを経て、ついにプチのパートナー候補のRadishが家に来ることになった。


サガ先輩が今のマンゴー(ロス)をHRSからアダプションした時は、一回目で並んで撫でられるところまで近づき、二回目でほぼうまく行くと確信を得て、三回目の自宅デートという運びだったらしいから、今回はその倍の時間がかかったことになる。
理由は、プチがあまりに神経質で怯えきっていたからだ……。
最初二回はまったく進展がみられず、流石のGeorgeも「これは時間の無駄かもしれない」と思ったらしい。
先輩の話によれば、プチは子供のころから母のえせると一緒で、いつもウサギ同士の間では一番下の地位にあった。状況が変わったのは、彼女が子供を生んでからで、もともと体力のあったプチは、子供を守るため神経質になり、マンゴーとえせるを酷く咬んで全身傷だらけにしてしまった。ウサギは咬まれた恨みは決して忘れないというが、まさしくその通り、それ以来プチはマンゴーとえせるの両方から酷く威嚇されるようになってしまった(咬んだ本人の方はどうも忘れているようなのだが)。
ウサギといえば威嚇するウサギしか知らない現在のプチの状況では、他のウサギに怯えるのも無理はないのかも知れない(もとはといえば彼女が悪いのだが……)。
しかし、Radishはウサギらしからぬクールな性格で、プチが如何にパニックに陥ろうとも、泰然自若として飽きずに何度もコンタクトを試みていた。Radishがああいう性格でなければ、Georgeもまだ少し様子を見る気にはならなかったらしい。
かくして、3回目のデートの後、漸く少し変化が見え始めた。プチは部屋の隅で怯えなくなり、頭一つ分くらい離れた場所程度までには近づくようになった。
その後は、亀の歩みで少しずつ打ち解けてきている模様。
そして本日、漸く自宅で相性をみることになった。
足下が滑る方が取っ組み合いの喧嘩にならずに済む、ということで、キッチンの床をつかってデート。

……しかし、まあ、どちらかというと、デートというよりはまだ逃げ回っている感じだ。
もっとも、Radishほど落ち着いた相手などそうは見つからないだろうから、彼で駄目ならプチとは誰もペアにはなれないかも知れないが……。
……ちょっと、このプチの神経質さは、パブリックに入ったばかりの頃のミロを思い出させて苦笑を誘われた。
そういえば、ミロが手紙とメールで話したいと連絡してきたので、「今はそんな暇はない」と突き返してやったが、あいつ、凹んでるかな。
(大学のときにほぼまる一年、こちらからの電話にも手紙にもまともに返信しなかった事を思えば、このくらい大したことじゃないだろう。「連絡しない」と断ってやっているのだから大分ましというものだ)
Georgeも、プチの過去、まだ他に二匹いるという現状を鑑み、今日一応アダプションの手続きはするが、もしうちとけなかったらHRSに返してくれていい、と念を押して帰っていった。
これから1ヶ月、じっくり時間をかけて慣らして様子見、というところか。
ところで、Radishはハレクインという種類の両親から産まれたらしい。ハレクインはフランスで生み出された種類で、本当は顔の半分がまっ二つに違う色をしているのだそうだ。
Radishもよく見ると右半分の色が淡い感じだけれど……

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