ファーマーズマーケットで、つい3個1ユーロの誘惑に負けてビーツを買った。
さて、買ったはいいが、どうやって料理するか思案。
煮るくらいしか思いつかないので、冷製のスープにでもしようかと思ったら、ユーリに強固に反対された。
「君、ビーツっていったら、ボルシチに決まってるじゃん!!!」
「ボルシチ……ですか? この暑い最中に……」
「季節なんて関係ないよ! 今夜は肉たっぷりのボルシチね!」
まあ、別にもとからスープにするつもりだったので、多少ロシアンテイストになっても良いか、とネットでレシピを調べ、キッチンに立ったはいいが……。
外野の声がうるさい……。
「肉は? どれだけ買って来たの?」
「500gです」
「じゃあ、野菜足りないよ! ビーツ全部入れようよ、全部」
(全部洗って皮を剥いて切る)
「なんか、タマネギ足りないよね。タマネギもう一個」
(でかいタマネギを一個向いて乱切りにして入れる)
「あの、これ、圧力鍋に入り切らないと思いますが」
「いいじゃん。もっと大きい鍋あるでしょ?」
(棚の奥からこの家最大のシチュー鍋を取り出す)
「じゃあ、まずニンニクとバターで肉を炒めて、それから野菜炒めて」
「……一体何日分のシチューですか、これ」
「野菜がしんなりしたら、ワインと水、ブイヨン、トマトペースト入れて」
「ちょっと待って下さい、まず肉にワインの香りを移さないと……」
(ユーリが横から野菜を投入しようとするのを防ぎながら、ワインを肉にふりかける)
「そんなの、煮込んだらどうせとんじゃうんだから、いいんだよ! 早く野菜とスープ入れようよ」
「そんなに焦ったって、あと2時間は煮込まなきゃ食べられませんよ! 量増やしたせいで、圧力鍋使えないんですから」
「あ! キャベツ忘れた!! キャベツも入れて!!!」
(面倒なので、キャベツを縦に八ツ割りにして鍋に放り込む)
「……君、結構大雑把だね」
「ほっといて下さい」
「……これ、なんか、野菜に対して肉少ないよね。買って来て足そうよ」
「誰のせいですか!!! 第一、これ以上、この大鍋でも入りませんよ!!」
「でも、肉!」
「ああもう、じゃああとで買って来ますから、それはステーキにするって事で!」
「あ! ジャガイモも忘れた!!」
「もう却下!!!!」
……というわけで、出来上がったのがコレ。
白い塊はサワークリーム。
(最初は白いスープ皿に入れていたのだが、ユーリがそんなちょっとじゃ足りない、というので、ボウルに移し替えた)
ちなみに、パセリを買って来るのを忘れたといったら、ユーリは大層悲しそうな顔をしていた。
……というわけで、今晩と、明日と、明後日の食事当番完了。
多分3日目には飽きるだろうが、その分練習時間が確保できるので良しとしよう。
(ちなみに、味は悪くなかった。)