カミュと二人で、アスレチック・ジムのような階段をてくてくと上っていた。
天気は曇天。年は17〜18歳くらいか。
オレは、妙にカミュの髪の長さが気になっていて(夢の中では背中ぐらいまであった)、短くしないで欲しいと思いながら、隣に後ろに、前に、と歩いていた。
そのうち、ふっと、カミュがこちらを振り向いて、そのしぐさで、『ああ、オレ、行かなきゃ』と思った。
名残惜しさにカミュを良く見ると、それまで背中に、肩に流れていた髪が、コートの内側に巻き込まれ、ゆるくカーブを描いてその下に隠れていた。
綺麗な髪の色だな、と思った時に、カミュがこちらを見てふわりと笑った。
そして、そこで目が覚めた。
携帯の電話の音だった……。
朝から、PCの起動が出来ないと妹から……。
もうちょっと寝ていたかったけれど、起きてメールなどをチェック。
製図の清書の依頼が一件。
街を見下ろすと人気も少ない。
旧市街を抜けて広場の隅にある気に入りのカフェに行き、エスプレッソを頼む。
見れば街中観光客だらけ。地元の人間はとんと姿が見えない。
カフェのご主人とそんな話をしていると、夏期休暇で頼んでいたバイトが一人都合が付かなくなって困っているとの事。朝と夕、シフトを組んでバイトをする事に決定。
明日からは一週間朝番。
カミュは仕事、仕事と言っていたけれど、やっぱり夏にオフィスで働く気にはなれないなぁ…。
えーと……
そんなに、髪を切ったのがショックだったのか?
取りあえず、私の周りでは今のショートにした時それなりに好評だっだんだが……
…と…そんな事はどうでも良くて!!
お前、なんでカフェでバイト?!
社長がそんなでいいのか?!
いや、あの夢の意味は良く分からないんだけど?
髪は、カミュ短いの似合っているよ?(笑)キーラ・ナイトレイもショートだし(笑・あ、あそこまで女顔じゃないし、なんというか、あの切れると誰より勇ましい所がにているんだけど)
髪は短い方が首とか耳とかにキスしやすいし。
あ、でも、寝る時は少し寂しい気がするかもしれない。シーツに広がっているのって存在感があったからね。でも、短いの好きだよ?
社長、って言ってもようはフリーランスなだけで、何でもするよ?狭いトコに閉じこもって一日中製図書いたりしているより、ヴァカンスなんだから外に出て楽しまなきゃね!
イタリアの接客業は英語が出来るとかなりお得だし(まだホテルでも通じないとこ多いからね)、スペイン語できるし(これはイタリア人ならあんまり気にせず適当にしゃべってる時もある)、片言ならフランス語と日本語も出来るし、今度やるならドイツ語かな?
でも、モデルの友達でドイツ人居ないんだよな…。スイス・ドイツとかオーストリア・ドイツとかトルコ・ドイツなんかは居るんだけど。
まあ、兎に角、今は外に出てくるくる動いてる方が楽しい季節だよ!!(笑)
ヴァカンスなんて言葉を、ミロから聞く日が来るなんて予想もしなかったな(笑)。
いつも真面目で、勤勉だったからね…ミロは。
イタリアに行って、随分開放的になったようだね。
でもたまにはロンドンにも戻って来て、またヴァイオリンの相手をしてもらえると嬉しいな。
もっとも今は、カミュと過ごす時間の方が大切なのかも知れないけれどね(笑)。