明け方に

隣で寝ていたエセルが、むっくりと起き上がり、そっと寝室を出て行った。
なんだろう？　と思って暫くベッドの中で待ってみたが、なかなか戻って来ない。
気になるので、ガウンをひっかけて明かりの漏れるバスルームを覗いてみれば、洗面台に両手をついて青白い顔に汗を浮かべながら、目をぎゅっと閉じているエセルが居た。

「気持ちが悪いのか？」
と聞けば、固く両目を閉じたまま微かに頷く。
「悪阻か？」
と聞くと、僅かに歯軋りの音が聞こえた。
しかたがないので、熱いタオルを、電子レンジで作ってやり、後頭部、頭頂、首の付け根などを温めてやる。昨晩というか、今晩？夜の運動をした後にきちんと汗を拭ききれていなかったのだろう。やるので、クーラーをガンガンに付けていたのを消すの、忘れたしな。
もう一度、蒸しタオルを作ってやる間に、エセルに発汗性の良い絹の夜着を着せてベッドに連れて帰る。
うつぶせにさせて、出来立ての蒸しタオルをもう一度後頭部に当ててやる。
ふうっという溜息と共に、エセルの肩が僅かに下る。
そのまま、シオンに言われたように(シオンとドウコはchi-energyの医者)エセルの頭頂に手を載せてchi-energyというものを信じて愉気というものをしてみる。
10分後くらいには静かな寝息を立てて、エセルは眠った。
ふむ。
効くのかもしれん。
しかし、痛いからって歯軋りで答えるなんて、本当にうさぎと一緒だな(笑)
さて、今日の日をカレンダーに印して、１０ヶ月後が楽しみだ♪