(カウントダウンになっています。数の大きい順からお読み下さい)
サガが背後の気配に振り返ると、大きな影がなにかの用紙を冷蔵庫に貼り付けている最中だった。
「どうしたんだい、ロス?」
スコッチテープをいい音を立てて切り、大きな手でべしっとA4用紙一枚を冷蔵庫の側面に貼り付けたアイオロスが、笑顔で振り向いた。
「これ、これからの予定表な♪」
サガは、え? 目を丸くしてアイオロスが退いた道に進んで用紙に顔を近付けた。
・ケータリング(チェックマーク)
・証人(チェックマーク)
・うさぎ留守番(チェックマーク)
・ホテル/in 5:00〜 out 15:00
・B&B(チェックマーク)
→車確認
・名簿
・金曜日 登録(チェックマーク)
箇条書きの下には一時間刻みのタイムテーブルが表として作られてある。エクセルで作られた罫線の上に、さらにボールぺんで様々な書き込みと新たな線があり、一際サガの目を引いたのは、土曜の列だ。
しっかりと、そこには「会場:バーロウ宅」、と書き込まれている。
「ロスッ!!」
サガが鋭い声をアイオロスに向かって発すると、アイオロスは、軽く肩を上げて澄ました顔で、
「だって、お前が他人の目があるのがイヤだっていうから。いちいち一人一人に報告するのも面倒だし、こういう事は一気に片付けた方が楽だろうが」
「だから、狭いけれど、家で簡単なパーティーをすればいい、と言ったじゃないか!」
サガは、完全にカッティングボードから身を翻してアイオロスに詰め寄った。
「やだよ。自分家でやったら片付けめんどくせー」
アイオロスの一言に、サガの眦がビシッとつり上がった。
「それに、もう土曜の晩から予約を入れてるんだ。間に合わなくなる」
「じゃあ、そっちをキャンセルしなさいっ!」
「大丈夫だって! 今回はちゃんとケータリングと合わせて会場セッティングも人任せだから問題ない」
「問題ないわけないっ!」
サガは電話に飛びついて、もはや暗記してしまっている赤毛の後輩の家の番号を押した。