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「なんだ、シオン。随分といかめしいヤツを引っ張り出してきたな」
ドウコはシオンが腕に抱えるものを見るなりそう言った。


「ふん。スーツを着て奴らの後ろに立つのも馬鹿らしい。頼んで来たのはあっちだ。わしはわしのやりたいようにする」
冷たい一瞥を投げつけられたドウコは、肩に抱えた肥満猫をあやしながら頓着しない笑顔をシオンに向けた。
あの面子では、いくらシオンに強い覇気があるとしても、洋装ではいささか分が悪い。
モンゴロイドにしては、スラリと均整の取れた肢体に、高い部類に入る身長だ。だが、それでも彼らの中に入れば、シオンは小さく、細く、年下に見えるだろう。
「お前、まだ長袍の着方覚えてるのか?」
「生憎、お前ほどザルな頭は持っておらん」
呵々と笑うドウコを捨て置いて、シオンは毅然とした背中を見せてその場を去る。
「シオン、くれぐれも裾を踏んで転ぶなよ?」
シオンのまっすぐに伸びた背骨から、烈火のような激しい「気」が、ドウコに向かって轟然と燃え立った。

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