バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より 終曲「シャコンヌ」
さて、この「salon」でシャコンヌをとりあげるのは2回目になります。
最初は記念すべき(?)第1回、ヴィターリのシャコンヌ、でした。
シャコンヌ、というのは曲の形式で、あるテーマ(主題)をどんどん変奏して発展させていく形式の曲なので、シャコンヌの名前をもつ曲は結構あります。
うちのサークルだと、お友達と一緒にパーセルのシャコンヌでも一冊本作ったことがあります(笑)
で、こちらは、バッハが作曲した、ヴァイオリン1本で演奏するパルティータの中の終曲のシャコンヌです。
英国寮生物語では、全シリーズの中でももっとも重要な曲でして、ミロがヴァイオリニストを志すきっかけとなった曲であると同時に、カミュが音楽を諦める道を選んだ曲、ということになっています。
そういう事情で、この曲は、ミロにとってもカミュにとっても、禁忌になってしまっていたのだけれど、ミロが本気でカミュを呼び戻したければ、やっぱり原点に立ち返らないわけにはいかんよね、ということで、ミロ・フェアファックスの2012年、2012年のクリスマスの2話で、ようやく再登場となりました。
ただ、そうはいっても、カミュとユーリのアダルト話があれだけ進んでしまってから、どうやってこのスレた赤キツネをミロのところに戻せばいいんだ、、と悩んでいたのも事実でして
(だったらあんなもん書くな、って話なんですが、ちょっと師弟モノのエロをやりたくて、遊んだら思いのほかハマってしまった(汗))
どうするかな、と困っていたところに、現れたのが救いの女神、ヒラリー・ハーンでした(笑)。
この演奏は、私にとっては大変な衝撃でした。
これを日本に帰る飛行機の中で聴いた瞬間に、「ミロがカミュに贈ったバッハは絶対これだ!」と思ったのですね。
そして、カミュがミロのもとに帰るとしたら、たぶんこれしかないんだろうな、と。
で、羽田についた直後に、空港でPC開いてCD全集発注しました(笑)。
ミロはまた、「結局オレのヴァイオリンが好きなだけなんじゃん…」って悩むんでしょうが、カミュは別に、とくにミロの演奏については、音楽の美しさやテクニックの華麗さを聴いてるわけじゃないので、まったく心配ないんですけどね。(ってたぶんミロは一生理解しないんだろうけど)。
私は、バッハのシャコンヌは、CDだけでも10枚以上持ってますが、こんな、心の底から叫ぶようなシャコンヌはきいたことがなかったのです。
バッハの無伴奏はとくに、ほとんどの演奏家が神々しく、あるいは天真爛漫に弾いてしまうので。
それはそれで、もちろんとても良いですし、ほとんどの場合、バッハは情緒過多になると辻褄が合わなくなって失敗、というか独りよがりの演奏になりがちなんですが……
ここまで強い主張がありながら矛盾がまったくない演奏は、本当にきいたことがなかった。
ヒラリー・ハーンはアメリカのヴァイオリニストで、早熟の天才、このバッハもたぶん17か18歳のときの演奏だと思います。
この演奏の主張の強さは、まさに若者だからこそではあるんですが、その一方で、細かな表現の完成度がハンパない。
最近の十代はませているといっても、あの楽譜を見て、こういうふうに演奏できる、ということを、教師の受け売りではなく、もし自分で想像して、アゴーギクも音色も自分で決めて表現できたのだとしたら、それは本当にすごいことだな、と思います。
それができるテクニックをあの年齢で身につけるだけでもものすごく大変ですが、まずそういう想像力が働くのがすごい。そういうのは、普通は、年齢を重ねていくと見えてくるものだと思うので。
しかし、そのアンバランスさが、ものすごい魅力で、また、今の半分心が壊れかけてるミロっぽいなー! と思ったのでした。
(ヒラリー・ハーンのFANの方、こんな爛れた話のネタにして申し訳ない!)
若い頃のミロは、もっと天真爛漫な演奏をしていたと思います。
英国寮生物語8巻を書いた時点では、グリュミオーの演奏を念頭に置いてました。
実際には、グリュミオーの方が演奏時の年齢は上だと思うので、たぶんバッハって、演奏者の年齢が上がるほど天真爛漫になっていくんじゃないかと思うんだけど(笑)
まあ、ミロはヌメノールなので(ウソ)30歳になってようやく思春期がきたと思えばちょうどいいのか(笑)
実は、2012年のクリスマスはもう1年以上前に書いていたのですが、とにかく気に入らなくて書いては削り、を散々繰り返した挙句、一人称やめたりとかいろいろやってみたんですが、やっぱりどうやってもまともな出来にならないので、もう諦めてアップロードすることにしました。
和海がその前に非常によくまとまったミロ・フェアファックスの2012年を書いているので、正直並べて出したくないんですが、、あと1年寝かせても改善する気がまったくしない(涙)
なので、ここはもう諦めて、次の話から仕切り直しいたします。
2012年の日記には、例のアダルトシリーズが挟まっているんですが、まっとうなミロカミュFANのみなさまのお気持ちに配慮してウェブサイトでは公表いたしませんので、カミュの相手がミロでなくてもいいよー、という方は、pixivでご覧くださいm(__)m
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