暫く音沙汰のなかった実家から手紙がきた。
去年は、クリスマスにも戻らなかったし、とうに父の怒りを買って勘当同然の扱いだと思っていたのに、その白い封筒の中にあったのは、来月十四日の父の還暦の誕生日を祝うパーティに出席するよう求めた手紙だった。
実家に戻る意思はないことは、去年一年かけて、十通以上書き送った手紙と電話で伝えてあったのだが……。
勿論、父の誕生日を祝うのになんの不都合もないし、息子の一人として招待されたのなら喜んで行くつもりだけれど、私の方に選択の余地はない(私の都合を尋ねる内容ではなかった)ということは、「チェトウィンド卿」が参加する必要がある、ということなのだろう。
カノンも勿論呼ばれているだろうが、どういう文面で呼びつけられたのかが気になる……。
アイオロスに、3月暫く留守にする、と伝えたら、珍しく真面目な表情でじっとこちらをみて、「俺は行かなくていいのか」と訊いて来た。
気持ちは有難いけれど、これは私の問題だから。
そう言ったら、「でも、ぐずぐずしてたら攫って行くけどな」と頭を小突かれた。
たしかに、随分と待たせてしまったからね。
そろそろ、もうこの中途半端な状態を終わりにしよう。