CHOPIN : Piano Sonata No. 2 in B flat minor, Op. 35
Mov. III. Marche funebre: Lento
Idil Biret (p)
http://www.naxos.com/catalogue/item.asp?item_code=8.550363
サンプル音源の聞き方の説明はこちら
お久しぶりです。久々にsalonに曲を追加してみました。
今回は、ちょっと意外な曲かも知れません。誰もが最初のフレーズは知っている、ショパンの葬送行進曲です。
一曲の独立した曲のように思われている方も多いかと思いますが、実はソナタ第2番の3楽章です。
この曲のイメージは、散々ゲームのバッドエンドなどに使われてしまったお陰で、暗い、の一辺倒だと思うのですが、実は全部聞けば決してそんなことはありません。
実は、仕事にどうも集中出来ないので、何かBGMを、と考えたときに、この曲がふっと浮かんだ、というだけのことなんですが…(^^;)
弦楽器は今は感傷的になりそうでイヤだな、とか、オケはうるさいな、とか、合唱じゃ泣けちゃう、とか色々考えて、ピアノがいいかもしれん、と。
でも、ピアノでも、普段はブラームスとか大好きだけど、今はダメ。バッハも暗くなりすぎる。
そうしたら、ふと、昔テレビで聞いた梯剛之さんの演奏するこの曲を思い出しました。
彼の名前は、盲目のピアニストとしてご存知の方も多いかと思います。
彼はコンクールでこの曲を弾いたのですが、その前の曲で実は失敗してしまって、もう入賞は出来ないことが分かっている状態でした。
ただ、幼い頃から小児がんの恐怖に晒され続けてきた彼は、この曲にとても思い入れがあり、この時のコンクールで素晴らしい演奏をしました。よく覚えていないのですが、確か聴衆が選ぶ賞に入選したと記憶しています。
その時に、世間のこの曲のイメージと、本当の姿は随分違うな、と思ったのです。
曲は二拍子で始まります。以前和海が「これもマーチなのか?!」と驚いていましたが、二拍子の行進曲はマーチです、はい(笑)。
ショパンがどういうつもりでこの曲を書いたか、曲の背景は全く知らなかったりするのですが、私にはその時テレビで梯さんがインタビューに答えていたことが強く印象に残っています。
古い記憶で、正確な言葉は覚えていないのですが、曰く、この曲は、死を悼むための曲ではなく、死の恐怖や悲しみを克服して、次の一歩を踏み出すための曲だ、と。
その時に、そうか、だから行進曲なのか、と、素人考えに納得したものです。
そして、その時の彼の演奏は、確かにそう聞こえるものでした。
時間というのは、人の都合に関係なく流れていってしまいますが、人の中の時間というのは、止める事も、進める事も、もしかしたら過去へ遡る事も出来る、と私は思っています。
自分でコントロール出来る事もあるし、出来ない事もある。
悲しい事に出会って、そこへ留まって悲しみが解ける日を待つ事が出来る人もいれば、(少々薄情なのかもしれないですが)先に進む事でしか解けていかない人もいる。私はどうやら、後者のようです。
先に進みたいと思うのに、なんだか元気が出ないな、そう思った時に、この曲は力になってくれる、そんな気がします。
ところで、この曲は、まだルーファス君にはとても弾けないですね(笑)。
彼はまだ青すぎる。
まあ、もしかしたら、エリオット君なら弾いてくれるかもしれないですが。
でも、やっぱり、この曲はルビエさんに弾いてもらいたい。彼はもともとショパン弾きでしたし、現役時代には弾いていたでしょう。デル=リオーネさんにも弾けるかもしれませんが、本人が多分嫌がるでしょうから(笑)。今のルビエさんでも、この曲なら、頑張って換え指使えば弾けるんじゃないかな。
うーん、久々に、大人の彼等が書きたくなったな(笑)。