来週の予定

今週はカノンが出張だというので、バーミンガムへは行かず電話をした。


双子というのは変なところでシンクロするもので、電話をかけた途端、ベルも鳴っていないのにいきなり繋がった。聞けば、丁度カノンも私に電話をするところだったらしい。私達の間では、実はこういった事が結構頻繁に起こる。
電話の内容は、来週は木曜日から翌週の火曜日にかけてロンドンで学会があるので、そちらに泊めてくれないか、とのことだった。
丁度アイオロスも留守だし、勿論歓迎する、と返答した。カノンと二人で過ごすなんて、随分久しぶりだ。勿論仕事で来るのだけれど、週末はexcursionがあるというし、久しぶりにカノンの好きなシフォンケーキを出すカフェでゆっくりしようか、と笑ったら、急に受話器の向こうで押し黙り、「待てよ、ベッドは二台あるのか」と訊いて来た。
ええと……。
ソファが、一応ベッドにはなるけれど……私が寝ても、カノンが寝ても、足ははみ出るかも知れない……。
嘘をいっても仕方がないので、ありのままに話すと、向こうから深い溜め息が聞こえた。
「お前なあ……来客用の部屋くらい、確保しとけよ? なあ?」
「そんな事を言っても……カノン、ここはロンドンだよ? アメリカの大邸宅とは違うのだし」
「お前の立場なら、ロンドンでも余裕で一戸建てにメイドつけて借りられるはずなんだがな??」
「それは駄目だよ、私は家の用事でロンドンに住んでいるわけではないのだから、そんな無駄遣いは出来ない」
「あのな、お前は、そういうことを考える立場じゃないの!」
カノンははあ、とまた大きく溜息をついて、続けた。
「ま、いいや、で、俺が行っても大丈夫なわけ?」
「それは勿論、来てくれたら嬉しいよ。心配しなくても、ちゃんと寝室はそちらに譲るから」
「バカ。お前があの勘違い野郎といちゃついてるベッドでなんか眠れるか。ソファで十分だ。ま、それでも、風呂と台所が使えるだけで、そのへんの安ホテルよかずっといいからな」
そういうわけで、来週は、カノンが泊まりに来る事になった。
楽しみだ。
そういえば、シオン先輩と童虎先輩がカノンに会いたがっていたけれど……土曜の夜あたりに、夕食に招待してみようかな?

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