あれから、俺達が呆然としている間にサガはさっさとロンドンに帰りやがった。
俺は職業意識が働いて、すっかり気落ちしているお袋と、気の抜けた親父を放っておけず、もう暫く実家に留まることになった。
なんで俺がこんなワリを食わなきゃならんのか、考えると腹がたってしょうがないのでそれは棚に上げておいて。
サガが置いて行った問題のコピーだ。
ロンドンの開業医の泌尿器科が発行している。まあ、パイプカットは所謂医療保険がきかない手術だし、そんなものをわざわざ混んでいる大病院ではやらないだろう、普通。
しかし、だ。
サガは独身で、子供もいない。
ちょっとネットで調べたら、普通、医者はそういう男のパイプカットはやりたがらないそうだ。
しかも、貴族の跡取息子で、その実家から逃げ出すためにパイプカットなんて、普通医者がOKするか??
(まあ、モロモロの背景は黙ってりゃ済む話だが、あのどこから見ても育ちのよさそうな匂いをぷんぷんさせているアイツが、そのへんをうまく隠して、、、なんて芸当を持ち合わせてるはずがないからな)
この医者に電話してみるか。