毎年恒例のHRS Holiday Bazaarが開かれたので、Georgeの家に行って来た。
HRSの通常業務は、地域のシェルターなどで引き取り手が現れず安楽死させられる事になったウサギを買い取り、引き続き里親を探すことだ。そもそもシェルターに送られるウサギは圧倒的にイースターに安易に買い求められたウサギが多いため、HRSは他のウサギ保護団体とも協力して、ペット用品チェーン店などでのウサギ販売中止運動を行ってきた。
その努力が実り、大型チェーン店PetsMartで生体ウサギ販売をやめる判断が下されたのがつい二年前のことだ。
ところが、一難去ってまた一難、昨年からの世界的な不景気で更に厄介な問題が頻発するようになった。
昨年十一月、ショーラビットのブリーダーが麻薬所持で逮捕され、その際に飼育放棄されたウサギ達が発見された。一部は既に餓死していたという酷い有様で、38匹のウサギ達がHRSや地域のシェルターに保護、投薬などの治療を受けた。
今年5月には、とある地域の小シェルターで管理不良が発覚。ウサギ達は小さなケージに押し込められたストレスで互いの耳を齧り、傷物であるため「アダプション不可」の扱いを受けて放置されていた。その数21匹。
更に10月、ショーラビットオーナーの破産によって権利放棄されたウサギが17匹。
そして先月には、子供(人間の)養育放棄家庭で30匹の犬と 136匹のショーラビットが劣悪な飼育環境に置かれていることが発覚した。オーナーが権利放棄をしていないため今後どうなるかは法廷の審議を待たねばならないが、もしオーナーに管理能力がないと判断されれば、これらの膨大な数のウサギの行き先が問題になる。
HRSをはじめとする愛護団体はこれらのウサギの治療、里親探しにフル稼働し、その結果例年行ってきたHRS会員の会合などは大幅にキャンセルされることになった。
Holiday Bazaarで久し振りにメンバーに会えたのは嬉しかったが、聞こえてくる会話はこうした深刻な話題が多く、景気悪化の皺寄せが力の無い者に覆い被さる現実を再認識せずにはいられなかった。
さて、暗い話が続いたが、HRSに救出されたウサギ達はその愛くるしい姿で我々の心を明るくしてくれた。
まず、クリスマスツリーの飾られた居間で出迎えてくれたBoomer君。
彼は斜頸で、一時は頭が完全に上下逆になってしまっていたそうだが、治療のお陰で時折ほんの少し傾く程度にまで回復した。
なんとかしてクリスマスツリーの裏側へ行こうと散々トライした後、疲れてお昼寝。
これがそのクリスマスツリー。
地下のウサギ部屋は、一時期よりはウサギの数が減っていて、少し安心した。もっとも、11月の136匹の行き先を探すことになれば、あっという間に大所帯になってしまうだろうけれど……
こちらは、Binky嬢。大変頭がよく、人になついたウサギで、悲しそうな目もしていなかった(飼育放棄されたウサギは大抵悲しそうな瞳をしているものだけれど……)アイオロスが興味を示していたけれど、彼女はあまりにスマート・ガールなので、飼い主の愛情を独占したがる傾向があり、他のウサギと一緒にすると大喧嘩になるのだとか。
(ウサギも嫉妬するのは、うちのロスでよく分かっている。)
バザーの販売物は、上記のような事情で、例年にくらべるとかなりつつましかった。本当は、トンネルやラビット・ハウスを買おうと思っていたのだけれど……カレンダーとウサギ用玩具を買う事にした。
景気が悪くなり、生活に困窮する人が増える中で、動物のことになど構っていられない、という声も聞く。ウサギ達に費やす労力と資金を、その前に人間に使ってくれと心の底から願う人も居るだろう。
けれど、不景気だからこそ、行政がこれらの罪のない動物達のための援助に手を貸してくれることはないだろう。であれば、その動物達に癒しを貰っている我々が、何かをするより他ないと思う。
来年は、もう少し景気が良くなって、こうした大量の飼育放棄ウサギが出ないことを祈ろう。