Theme No.8 Listz Transcendental Etudes No.4 & No.6

フランツ・リスト「超絶技巧練習曲」
http://www.classicalarchives.com/work/15985.html

サンプル音源の聞き方の説明はこちら


この曲のエントリーをすっかり忘れておりました!
Memory of Music 第2巻で、ミロがこっそりカミュに隠れて練習していた曲です。
もっとも、それをミロの正体を知ったカミュに聴かれてしまい、カミュはそのあまりのミロの超絶技巧具合にアテられて、絶望のどん底にたたき落とされることになったわけですが……(笑)。
全部で12曲からなるこのリストの練習曲集は、難曲の代名詞として随所に使われているので、名前だけでもご存知の方は多いのではないでしょうか。
なにしろ、名前が「超絶技巧」ですからねえ!(笑)
しかし、実はリストが名付けたフランス語の”Études d’exécution transcendante”, transcendanteの訳は、「超絶」というより「超越」の意味が強いのです。
なので、想像を絶するような技術を要する「超絶技巧」、というニュアンスではなく、もともとは、もう肉体の限界も超越したところにあるような、魂のエチュード、というニュアンスが強かったのではないかと思います。

 

とはいえ、「頭おかしいんとちゃう?!」というレベルの技巧と体力を要求される練習曲であるのは確かで(笑)。
その辺の音大出たから弾ける、って曲ではないわけです……。
ろくすっぽピアノにも触らず、自分が音楽院に居る間にこっそり陰練していただけのミロに完璧にこれを弾かれてしまったときのカミュ・ルビエさんの衝撃たるや、想像するにあまりあります(笑)。
カミュだって弾けるかもしれないけど、多分両手が無事でも1ヶ月は練習しますよ、、納得出来るレベルに磨くまで。
でも、ミロは、こういうアホみたいな難曲をさらっと弾けちゃう底力があるのです(笑)。
それは、もう神様から授かったとしか言えない大きな手と強い肩や腰、オジサンのホロヴィッツ直伝の体に無理な力をかけない奏法のお陰で、リストだのブラームスだの、ガンガン何時間弾いても疲れない特別な体が出来上がっているからです。(カミュなら、練習中に絶対バテる)
もともと、ミロがリストが得意、というのは、秋吉さんの設定で最初から決まっていました。
リストの他は、シューマン、ブラームス、ベートーヴェンとこれまた、体力勝負の曲ばっかり(笑)
まさに男の協奏曲ですね!
ここは、ジュリアス・カッチェンのように、一晩でベートーヴェン、ラフマニノフ、ブラームスのピアノ協奏曲を演奏、ついでにアンコールで熱情ソナタ全曲とかやって欲しいところですvv
カミュ・ルビエ氏には多分逆立ちしても出来ない離れ業なので、きっと歯がみして悔しがることでしょう(笑)
(常人なら「この人変態……!」って引くと思うが、そこは音楽バカのルビエ氏なので、真っ向勝負で。)

で、そうやって馬車馬のようにピアノ弾きながら、中身は「俺は何をやってるんだ……カミュに会いたい……」なんてボロボロになって崩壊していくと更に退廃的でワタクシの好みでございます(笑)
やっぱり金髪碧眼のキャラはどっか病んでないと!

 
まあ、どこまで崩壊するかはまだ未定として(笑)、何故ミロがリストを弾いたか。
それは、勿論自分の得意な曲だったから、というのもあるのだけど、実は、カミュが弾いた事がなかったから、というのが理由でした。
カミュ・ルビエという人は、自分の練習のためにエチュードを弾く事はあっても、多分演奏会やCDの演目には取り上げなかったのじゃないかな、と思うのです。
ショパンコンクールで1位をとっているので、おそらくショパンのエチュードだけはレコード会社に再三持ちかけられて録音したと思いますが、それ以外は多分手をつけなかったんじゃないかな、と思う。
特にリストは非常に技巧的な印象が強いので、プロデューサーである父親もあまりいい顔はしなかったのではないかと。所謂技巧で売っている若手演奏家のイメージを避けるために。
それまでの数ヶ月間、カミュのリハビリに付き合って、カミュの音を可能な限りコピーしてきたミロは、その麻薬のような陶酔に溺れる一方で、自分が消えてなくなってしまう恐怖みたいなものを感じたのだと思うのです。だからこそ、絶対にカミュの音が混じる余地のないリストを練習した。
荒々しいマゼッパはミロの焦りの現れでもあって、多分追いつめられていなければ、もっと鼻歌まじりな感じで弾いたと思う(笑)<それはそれで、更にルビエさんを絶望させたかもしれないが(笑)
……なんてこと、こんなところで書かないで、本文中で分かるように書かなきゃダメですけどね(笑)
あの場面でミロの視点にもっていくのがほとんど不可能な流れになってしまったので、泣く泣くこのへんは書くのを諦めたのでした。。
3巻はもっとミロ視点が増えるから書きやすくなるはずだ!!(……多分……)

 
ところで、上のリンクですが、演奏者がいっぱいありすぎて誰のを聴けばいいのやら、という方のために。
一応、普段のミロはJenö Jandó氏のイメージ、2巻のミロに限ってはもうちょっと重くFreddy Kempf氏のイメージです。(名前をクリックすると、アルバムのページに飛びます)
もっと突撃なイメージが良い方はロシア人演奏家あたり選ぶと結構笑かしてくれます(笑)
アラウは上手いんだけど、私にはちょっと遅かったかな。
漸く重い腰を上げて3巻を書き始めたところなので、ミロに演奏させたい曲がありましたら、リクエスト送って下さい(笑)話の都合で必ず入れられるという保証はないのですが、努力します!
(あ、ちなみに、出バナはスクリャービンのピアノ協奏曲です♪ 「左手のコサック」とくれば、ミロに弾いてもらわんわけにはいかんでしょう!)
それでは、どうぞお楽しみ下さい♪
(いつものお約束。気に入ったら、ちゃんとMP3かCDを買って下さいね! ストリーミングで聴くだけでは、演奏家には1回0.3円しか支払われないそうです!)