一夜明けて…

20060710_2104_450.jpg昨晩、ローマは大変な騒ぎで、自分も友人達とずっと街を練り歩いたり、叫んだり、歌ったりと不眠不休のお祭り騒ぎだった。観戦中は、フランス程アッズーリに点を取る事に対する執着が見られない、積極性が足りない試合で、後半戦に入ってからは試合それ自体にとても不満を覚えていた。何故ドイツとの対戦の時のように動かないのか、何故PKを意識するような試合をするのか、凄く不満だった。


けれど、いざPKになり、勝利か敗北かになれば、当然負けては欲しくないわけで、5人ともシュートを決められた事は素晴らしい事だった。マウロ・カモラネージをグランドにパイプ椅子を出して腰掛けさせ、メンバーがそれを輪になって囲み歌い踊った断髪式や、カンナバーロの顔をくしゃくしゃにして喜んでいる姿を見て目頭が熱くなった。ブフォンを始め、よく堪えて頑張ってくれたと思う。(決勝戦は不完全燃焼という感じが無きにしもあらずなんだが…)
みんなと喜びを分かち合い、それなりに幸せな気分で帰って来て、興奮冷めやらず、パソコンを立ち上げて今大会の記事などを読んでいると…ジダンとマテラッツィの記事が目に入った…。
プラッツァの大画面では、ジダンがマテラッツィに頭突きを食らわした所しか流れなかった。俺たちは、何故ジダンが急にマテラッツィにあんな堂々とした頭突きを食らわしたのか全くわからなかった。寧ろ、最初は主審がそれを見ていなくて、ブフォンが必死に抗議していたところから認識が始まったから、ジダン最後の試合で彼が退場してしまうというのは本当に残念なことだけれど、あそこまで堂々と頭突きを鳩尾に食らわしてしまうと、助けようがない、という感で…その上ジダンはその後ベンチに戻らず、表彰式にも参加しなかった…そりゃないだろう…と…。
とにかく、ジダンにとっては悲しい事だったとして片付けていたのに、今記事を見ると
マテラッツィがジダンを挑発した、
暴言を吐いた、
ジダンの我慢の限界だった、
試合の内容は散々なのにPKで勝つとは非常にイタリア的、
ジダンをテロリスト呼ばわりした、
マテラッツィの痛みは嘘だったなどなど、
イングランド、フランス側の記事が現れている…。
マテラッツィが何かジダンに言っていたのは確かだろう。そして、ジダンはそれが許せなかった。
その言動に対する事から始まって、イタリア選手達全般に対する海外のサポーター、記者たちのコメントがとても痛い。オレ達は素晴らしいプレーをする選手は自国の選手と同じように愛するし、尊敬する…。
詳細は一夜明けても分からない。ジダンもマテラッツィも何も言わない。フランスのドメネク監督を始め選手達のコメントも痛い。フランスが後半特によく流れを支配していたとは自分も思う。彼らは10人になっても攻撃の手を緩めなかった。反対にアッズーリはドイツ戦程の食らいつくような気概が見えなかった。が、ディフェンスはよく働いた。(実の所、トッティが全く振るわなかったから、彼が交代するまでがむしろイタリアは10人で戦っていたようなものなんだが…)
フランスは確かによく攻めた。けれど、残念だった事に決定力が無く、幾つかの鋭いシュートもブフォンの好セーブやDFの体を張った壁に阻まれた。そして、試合はPKに流れ込んだ。すっきりしない試合だったとは思う。でも、フランスの選手がジダンの退場が試合の流れを左右したわけではないというのならば、彼らが点を取れずPKに試合が流れ込んだのはアッズーリの故意ではない…。
出来れば、敗者のチームからも賞賛を勝ち得る試合をしたかった。アッズーリにはその実力があったと思う。24年ぶりのカップの喜びと慙愧の念がある。もし、ジダンがこのワールドカップで引退する選手でなければ、また違う反応だったのかもしれない…。
なんにせよ、アッズーリにはフランスに対して大きな宿題が出来てしまったと思う…。ユーロカップ、4年後のワールドカップとまたフランスと当たり、今度こそアッズーリの海のように豊かに清清しい勝利を手にしたい。それまで、本当の意味でのカップはお預けなのかもしれない…。

「一夜明けて…」への10件のフィードバック

  1. カミュ・ルーファス・バーロウ より: 返信

    いや、フランスでも事態を嘆いているよ。必ずしもイタリアが悪役というわけではない。ドイツも「気違い沙汰」だと思っているようだ。
    「敗戦はそれほど受け入れ難いことではない。むしろ困難なのは、世界中の何千万人もの子供たちに、どうしてあんな頭突きをしたのか説明することだ」(レキップ誌)
    まったくその通りだが、読唇術の専門家は、マテラッツィが二度ジダンの姉(もしくは母親)を侮辱した、と読んだようだ。別の筋からは、アルジェリアにいる従兄弟をテロリストよわばりした、とか。
    真偽のほどはわからないが、もしそういう内容なら尚更きっとこれからも明らかにならないだろうね。ジダンは多分、家族の為に口を噤むだろう。家族にしても、それが原因であんな結末になったのならやりきれないだろう。
    勿論、そこまで酷い内容ではなかったと信じたいが、残念ながらマテラッツィはかなりその面で評判がよくないようだ…そして、イタリア各紙は、ジダンを退場に追い込んだ彼の「功績」を讃えている…。
    アンリは、「サッカーより大事なものがある」と吐き捨てたらしい。彼も真偽の程は知らないようだが、差別を受け続けて来た自分の人生と重ねたのだろう。フランスも人種差別は根強い。結果さえ出せば自国民としてもてはやすが、そうでなければ近づきもしない。そういうフランスの空気が、尚更その類いの挑発に敏感な選手を生み出している向きもあると思う。
    何にせよ、挑発することも戦略の一つ、という風習だけは何とかならないものだろうか、と心底思うよ。まあ、民族もいろいろ、性格もいろいろだから、「挑発して何が悪い、乗る方が悪い」と思う人も同じ数だけいるのだろうがね。

  2. ミロ・アーヴィング・フェアファックス より: 返信

    いや、やはり読唇術の専門家がどれ程正しいのか知らないけれど、ジダンの口から語れない内容ならなおさらマテラッツィには非を自覚して欲しいし、なんらかの形で謝罪して欲しい。
    イタリアの数誌は、マテラッツィが点を決めた事もあって肯定的な姿勢をとっているけれど、これは、選手もサポーターも認識している通り、4年に一度のサッカーのお祭りなんだ。皆が全力で応援して楽しめなくてどうするんだろう…。ましてや、技術を競い合う芝生の上で、相手に精神的なダメージを与えるなんて…「サッカーより大事なものがある」というアンリの言葉は真実だと思うし、それが正当なものだと思いたい。
    挑発は、相手の闘志を呼び起こすものであって、相手を侮辱したり辱めたり、傷つけると知っていて故意に口にするものではないと強く思う。
    それは、選手としてというより、それ以前の人間としてのマナーだ。
    スポーツって、そういうマナーを守りつつ戦うから選手は子供のヒーローになったり、尊敬を得られるんじゃないのだろうか…。
    なんにせよ、憶測が飛び交う中、どうかその言葉そのままを伝えなくてもいいから、何らかの謝罪がアッズーリからあって欲しい…。
    こちらだって、24年ぶりの優勝の功績が、相手チームの最も勇敢に戦った戦士への侮辱で得たものだ、なんて、子供達に聞かせたくないよ…。
    別の意味で、悪夢だよ…。

  3. アイオロス・ヴィンセント・エインズワース より: 返信

    バカタレ。
    何を甘っちょろい事を言っているんだ。「挑発」という武器は常にゲームの中では存在して来た。
    ジダンが仮に自分の大切な者に対する侮辱を受けてあの行動をしたのなら、やはり奴は敗者に相応しい。
    真に相手の侮辱に打ち勝ちたいのなら、意地でもフランスに勝利をもたらす為にサッカーを続け、イタリアを敗者にしてから頭突きなり蹴りなり食らわして相手を病院送りにしてやれば良かったんだ。それが真の意味での相手に侮辱に見合うだけの報復というもんだろう?(幸いジダンは相手を病院送りにしても試合停止云々は関係ないからな)
    畢竟、そんなものに左右されたと騒ぎ立てるという事は、最終試合は、その名に見合わず、レベルの低いものに終わったと言う事だ。

  4. カミュ・ルーファス・バーロウ より: 返信

    失礼、先の言葉を言ったのはアンリではなくてトレセゲだった。
    こういう問題は微妙だな。明らかになって傷つくのが当事者同士ではないかもしれないから、一概に謝罪があるのがいいとも言えないよ。ジダンがまだ選手を続けていて、この先の試合に有利に働くというなら意味もあるかもしれないが…
    ただ、この試合を見て、挑発行為は結局ゲームをつまらなくする、と思った人は多いと思う。C.ロナウドも英国民からの支持を失った。マテラッツィも、フランスではいい印象は得られないだろう。人の評など気にする必要は全くないかといえば、半分芸能人のような彼等はそういうわけにもいかないと思うよ。今後、プレイヤーがそういう空気を感じ取って、自粛してくれることを祈りたいね。
    さて、先輩はどうやら無事ご復活の模様で。
    元アスリートの先輩には甘い試合だったかも知れませんが、我々はアスリートではないし、現実が如何であろうとフェアなプレイ支持したい。それだけですよ。
    まさか、何人もの傷ついた子供達の為に弁護台に立った先輩が、怪我さえさせなければ何を言っても許されるなどと本気で思っているわけではないでしょう。アスリートだって、同じことだと思いますが。
    ジダンの汚点は何を言っても取り消せないし、確かに賢明とは言い難い。ピッチの外でやればよい、その通りです。だが、それはあくまで部外者の意見でしょう。だからトレセゲが「サッカーより大事なものがある」と言ったのではないですか。第一そのツケは彼自身の退場で払い済みです。
    イタリアは万全ではなかったかもしれないが、ギリギリの勝負をして勝った。フランスは一歩及ばず負けた。個人的には事件がなくても同じ結果になった可能性は高いと思っています。PKでは多分フランスは勝てなかった。ブフォンはそれだけのGKだと思う。だからこそ、あんな事件さえなければ、全世界が双方を讃えて終われたのに、と我々は残念に思っているんですよ。
    おもしろ半分に騒ぎ立てるべきはないけれど、この事件が言葉の暴力を容認する現在のフットボール界に一石を投じるきっかけにもしなれるなら、報道陣の姿勢も意味のないことではないと思いますがね。
    イタリアの殆どの人間は、今回の勝利を無条件に喜んでいるかも知れないが、ミロはそうではない。そして、私はミロのそういう真っ直ぐな所が好きです。その良心にわざわざ冷水をかけるような発言は、一体何のためですか? 冷やかし? そんなに我々がイングランドの絡まない決勝戦について語るのが面白くないですか?
    とはいえ、ここは先輩の掲示板ですし、これ以上先輩の気に入らない弁をわざわざここで展開する必要もないので、私は今後この件に関しては一切口を噤みますが。

  5. サガ・エセルバート・シュローズベリ より: 返信

    ロス、いい加減に後輩にちょっかいを出すのはやめないか…(溜息)
    君だって、イングランドが負けてから1週間も、まともにワールドカップの話すら出来なかったじゃないか。何も残念がっているカミュにあんな事書かなくても…。
    何故君はカミュ相手になると、そう闘志をむき出しにするんだ?
    カミュとミロへ、
    あんなこと言ってるけど、ロスは多分選手としての自覚が足りない、と言いたかっただけなんだと思うよ。あとは、報復するなら自分に有利に、相手にとことん不利になるようにやれ、といういつもの主張を繰り返しただけで、それ以外はただの言葉の弾みだから、あまり真面目にとらないでやってくれ。

  6. アイオロス・ヴィンセント・エインズワース より: 返信

    バーロウ、お前も短気だね。
    怪我さえなければ何を言っても許される、なんぞ誰が言った?オレはジダンの「心の傷」は一つも否定していないぞ? むしろ、それ程の怒りならば、相手の意に副うような報復をしてどうするのだ、と言っているんだ。
    残念ながら、スポーツの世界だろうと、一般人の暮らしだろうと本当に自分の望む形で相手に「勝とう」とするのなら、その場で怒りをぶつけるより他にすべき事があり、それをしてこそ不利な状況を覆せるんだ。また、それをするから人間は成長できるし、して欲しいと願うね。
    そして、ジダンが退場となった事でツケが払えていないから、お前さん達外野が騒いでいるんだろう?
    ジダンの退場騒ぎはこれで何度目だ? そして、今回、奴は何を自分のチームメイトや自国のサポーターに誓って出場したんだ? サッカー以外に大事なものがある。それは、きっと沢山あるだろう。そして、ジダンはサッカー以外の大切なものの一つを確実に自分で捨てたんだよ。お前さん達はそれに気が付いているのか?
    ジダン程の男だ。底辺からここまで上り詰めた男だ。出来るなら有終の美を飾って欲しかったさ。それは、心ある者なら誰でも思っただろう。この退場劇は、奴がサッカーをもう少し続けていられれば、どこかで取り返すことが出来るだろう。だが、今やその望みもない。
    オレはね、ジダン及びジダンの家族、親友がどんなに長くこの痛みで苦しむのかと思うとぞっとするよ。
    その苦しみは、プレスが騒いで真実を暴く事や謝罪で救われる事でもなく、お前さん達「サポーター」が残念に思う事、愛惜の念を贈る事でも消滅しやしないよ。
    ツケはこれから始まるんだ。
    下手な良心なんぞ贈られるより、寧ろ、「お前がバカだ」と言ってやった方がいい場合だってあるさ。
    ま、なんだかんだ言ったって、お前さん達を含め、オレだってジダンに何らかの影響力を持つ立場ではないんだから、こんな所で何を言っても愚にも付かない事には変わりないがな。
    願わくば、ジダンの今後の人生の中で、何かこの出来事を覆せるようなチャンスが訪れる事を祈ってるよ。

  7. ミロ・アーヴィング・フェアファックス より: 返信

    サガへ。
    見事な翻訳(意訳?)有難う(笑)。
    大丈夫。俺は気にしてないよ。まあ、ロスがコノ手の湿っぽい感情話嫌いなのは分かってるし。
    >カミュとロス
    いや…微妙に論点がズレてると思うんだけど…?
    カミュはロスがオレに冷やかしを入れたと言って怒ってくれてて、ロスは最初のコメントは自分の意見を主張したかっただけだよな?コレ、多分。で、ロスの二度目のコメントは、自分の主張の正当性を強化していて、カミュの最も不服とした、オレの事を冷かすなっていう威嚇に対しての明確なコメントは特に無し。
    という訳で…。
    うん。
    なんか、カミュのすっごく不機嫌な顔が目に浮かぶんだけど、愛されてるなぁ〜と思ってこちらはとても幸せ。こんなこと言うと、カミュ嫌がるかも知れないけど…。でも幸せ。(済まん!決して傍観しているわけじゃないんだが…)まあ、ロスに説教されるのは慣れてるし、やっぱり一番傷つくのはカミュに説教されたり、怒られたりする事の方が何百倍もの圧力を持っている訳で…。うまく言えないけど、いつも反論しろって言われるけど、そうして急かしてくれるカミュの存在自体がオレの事を幸せにしちまうから、なんか勢いが殺がれるんだよ…。(で、こんな事言って「じゃあ、もう知らん!!」って言われる方がロスの発言より何倍も堪える事だからな、言っとくけど)
    金曜日、カミュの手料理食べたみんなから疎外感を感じていたのもこれにて払拭!
    という訳で、これから電話かけるよ、カミュ。

  8. シュラ・アレクサンダー・コーツ より: 返信

    くだらん。
    つい最後まで読んでしまったが、何なんだ、この結末は。
    フェアファックスのノロケ話を見るために、貴重な5分を費やしたのか、俺は。
    全くもって、くだらん!
    お前等全員、ドイツの3位決定戦でも見て、頭冷やせ。

  9. ドウコ・ジェファーソン・オルグレン より: 返信

    それは、クリーンな試合を見て頭をクリーンにしろ、という事か?
    なかなかウマいな!
    (それとも単なるドイツびいきか?)
    ワシは偶にはお前も惚気てみてもいいと思うんだがなぁ(笑)
    そろそろ二次元じゃない嫁さん拝ませんかの?(笑)

  10. アイオリア・ジャスティン・エインズワース より: 返信

    …オレ、ミロの前にカミュの方が先に盛大にノロケていると思いますよ…シュラ先輩…。
    何もこんなところでお前(カミュ)が改めてミロに告白しなくても……(溜息)
    ……いいけどさ…もう……。
    末永く幸せにしてくれ。

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