うさぎのロスのやんちゃぶりが、毎日エスカレートしている……(溜息)。
うちに来てから一度も換毛したことのなかったロスが、ここ数日換毛を始めた。
春迄はまだ遠いと思うのに、うさぎには少しずつ春が近づいている事がわかるのだろうか。
換毛が始まって、(もともとおちつきのないウサギだったけれど)いっそう落ち着きがなくなり、部屋を仕切るパネルはただのアスレチックと化して、人が見ていないところではすぐに飛び越え、女性側に侵入するようになった。
とくに、三匹の間で喧嘩はおきていないようなので、少々は多めに見るか、とそのままにして床についた翌朝。
とんでもないものを見た……(溜息)。
台所のゴミ箱はカラスにひっくり返されたかと思うほど派手に倒れて溢れ、昨日夕食でむいたじゃがいもの皮が散らばっている。一瞬ひやりとした。ジャガイモの芽には毒があるから、皮は食べさせてはいけない。女性二匹は最初から見向きもしないが、なにしろロスはケシゴムや蝋燭まで食べてしまう悪食だから、不安だ。
先代のロスは三匹の中で一番繊細で、美味しいものしか食べなかったというのに……。
散らばっている、ということは、さすがにこれは食べるものではない、と判断したのだろう。しかし、ホースラディッシュの皮は、きれいになくなっていた。
昨日は帰宅が午前零時を超え、今日の分の昼食を準備するので精一杯だったから、ゴミを外に出すのを忘れてしまった。迂闊だったが、まさか、ウサギがゴミあさりをするなんて!
気を取り直して部屋をかたづけていると、ロスがプチを追いかけ回しているのが見えた。
この二匹は、えせるに比べれば若い。
じゃれているのだろう、と放っておいた。
ところが、ウサギというのは、興奮が興奮を呼ぶ傾向があるのだ。
最初はじゃれているつもりだったのだろう、しかし、まだ避妊手術をしていないプチが熱心に誘ったせいかもしれない……
ロスの目つきが、真剣になった。
これは、と思った瞬間、ロスはプチの背中にのしかかり、猛烈に腰を振り始めた。
えせるにするような、地位争いのマウントではない。腰の位置が違うから、すぐに分かる。
しまったと思った瞬間、ロスは、小さな鳴き声を上げて、後ろ向きにひっくり返った……。
ウサギの交尾は、ほぼ百パーセント妊娠する。メスの方が、交尾の刺激を受けてから排卵するからだ。
オスが声を上げて後ろ向きに倒れるのは、交尾が終了した合図だ。どういう機構であんな不思議な声が出るのか分からないけれど、「キッ」とも「キュッ」とも聞こえる、他では聞かない声だ。
去勢手術をしたはずの、ロスが、何故?!
ロスは、睾丸が片一方だけきれいなピンク色をしている。管理の悪いブリーダーから他の多数のウサギと共にHRSにひきとられたロスは、去勢手術も睾丸を摘出する方法ではなく、睾丸を残す方法(その方が手術が簡単だと聞いた)で行われている。
一方が機能を失ったことを受けてしぼんでしまったのに、不思議だと、ずっと以前から思っていた。
……まさか、去勢が不完全だったとか……(汗)?
とにかく、プチはこれで、排卵したのは間違いないから、偽妊娠の注意が必要だ。
万が一、かかってしまっていたら、プチより二倍は大きいロスの子を身ごもるのは母体に危険だ。すぐに子宮摘出になるだろう。
……それにしても、一連の騒ぎの中で、えせるだけがすっかり蚊帳の外で、部屋の隅で草を食んでいた。
年をとってしまったからか、もうメスではなくなって、必要以上にロスに媚びないからか。
その姿が、どこか寂しそうで、胸がつまった。
アイオロスも、いつか私が年をとったら、若い女の子がよくなる日がくるのかな……。
それが生物として当たり前なのだけれども。(どのような意味でも……)
朝から、少し寂しくなった。
今日で二週間目。忙しくしているだろうアイオロスからの電話はない。
お前はすっかり忘れているようだが、茶チビもゴミ箱あさりの天才だったぞ?
ロス!
こんな時間にWebなんか見ていて大丈夫なのかい?(笑)
いや……先代のロスは、屑篭はよくひっくり返して遊んでいたけれど、キッチンのゴミ箱は……(汗)
あ……バナナの皮が捨ててあったときにあったか? 数度……
それにしても、女の子達は決してやらないのに、どうして(うさぎの)ロスだけがやるのだろうね?