フィウミチーノ空港に降り立つと、明るい日差しと少し湿った空気が頬を叩いた。 少し日差しが目に痛い。立派そうに見えたタラップは、体重を乗せると大きく揺れた。風も結構強かったが、そのせいではないだろう。 頼りないタラップの下 […]
Diary
iPhoneとうさぎ
3月に実家に戻るとき、仕事も持ち物も交友関係も殆ど全て手放した。 記録の類いは既に殆ど電子化されていたし、お金を出せば買えるものは持っていかないと決めていたから、まとめた荷物は宅配便の箱3箱程度で収まってしまった。
あるバレンタイン その後
「なんだ? エセル、何処行くんだ?」 シネマスコープサイズ56型液晶テレビに映る画像が大きく揺れ、自らの顔が大半を占めるような構成に画面が切り替わった時、サガは視線を完全に床に向けたまま無言で立ち上がった。